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第3節 会社更生手続と取引関係への影響 [債権の管理と回収]

Ⅱ 会社更生手続と取引関係への影響
1 会社更生手続
 ① 会社更生法とは 
  ⅰ 経済的に窮地にある株式会社について事業の維持更正を図る手続のこと
   ア)債権者、株主、その他の利害関係人の利害を適切に調整することが目的
 ② 会社更生法の流れ
  ⅰ 会社更生手続開始申立
  ⅱ 保全処分
  ⅲ 更正手続開始決定と管財人の選任
  ⅳ 財産状況報告集会
  ⅴ 債権の届出・債権調査等
  ⅵ 更生計画の作成・提出
  ⅶ 決議のための関係人集会(更正計画案の決議)
  ⅷ 更正計画案の決定
  ⅸ 更正計画認可決定
  ⅹ 更生計画遂行
  ⅹⅰ 更正手続終結決定
2 会社更生法の特徴
  ⅰ 会社更生法の適用となるのは株式会社のみ
  ⅱ 会社更生手続き中の担保権の実行は禁止される
   ア)ほかの倒産処理手続では担保権はほぼ認められる
  ⅲ 裁判所および更正管財人の権限が強大
  ⅳ 債権者の利益もさることながら事業の債権に重点が置かれる
3 会社更生手続の申立
 ① 申立原因
  ⅰ 破産手続開始の原因となる事実が生ずる恐れがある場合
  ⅱ 債務の弁済をすればその事業の継続に著しい支障をきたす場合
 ② 申立権者
  ⅰ 株式会社自身
  ⅱ 債権者
   ア)資本の額の1/10の債権を有する債権者に限る
  ⅲ 株主
   ア)総株主の議決権の1/10を有する株主に限る
 ③ 管轄裁判所
  ⅰ 主たる営業所の所在地の地方裁判所
  ⅱ 東京地方裁判所
  ⅲ 大阪地方裁判所
4 会社更生手続申立から開始決定に至るまで
 ① 保全管財人の選任
  ⅰ 保全管財人は会社の経営権、財産の管理所分権を握る
  ⅱ 保全管財人は裁判所が必要と認めた時に選任される
 ② 保全処分
  ⅰ 裁判所が更正手続開始決定までの間会社財産の処分を禁止できる
  ⅱ 利害関係人の申立または裁判所の職権で出来る
 ③ 包括的禁止命令
  ⅰ 全ての更正債権者に禁止を命じることが出来る
  ⅱ 包括的禁止命令の要件
   ア)個別的中止命令では公正手続の目的を達成できない時に限る
  ⅲ 禁止される債権者の行為
   ア)強制執行
   イ)仮差押
   ウ)仮処分
   エ)担保権の実行としての競売
   オ)更正債権を被担保債権とする留置権による競売
   カ)国税滞納処分
 ④ 商事留置権消滅請求
  ⅰ 更正手続開始決定前に当該留置権の消滅を請求すること
  ⅱ 要件
   ア)当該財産が事業の継続に欠くことが出来ないものであること
 ⑤ 労働組合等の意見聴取
  ⅰ 裁判所は更正手続開始決定の前に労働組合等に意見を聞く必要がある
   ア)労働組合がなければ過半数の労働者を代表するもの
  ⅱ 意見聴取しなくても良い場合
   ア)更正手続の開始が確実であること
   イ)または申立の棄却が確実であること
5 開始決定
 ① 開始決定がされる場合
  ⅰ 更正手続開始の原因があること
  ⅱ かつ申立棄却の事由がないこと
 ② 申立棄却の事由とは
  ⅰ 更生計画の認可の見込みないことが明らかである
  ⅱ または裁判所に他の倒産処理手続が係属しその手続の方が債権者に良い
   ア)債権者の一般の利益に適合するなど
 ③ 開始決定後の流れ
  ⅰ 管財人が決定される
  ⅱ 債権届出期間あるいは債権調査機関が定められる
 ④ 管財人
  ⅰ 旧経営陣であっても良い
   ア)役員責任等査定決定の処分を受ける恐れのある者は選任出来ない
 ⑤ 開始決定の効果
  ⅰ 更正債権への弁済は禁止
  ⅱ 構成会社の経営権や財産の管理は全て管財人に帰属する
6 更生計画の作成と決議
 ①更正計画案作成期限
  ⅰ 更正手続開始決定日から1年以内に計画案を裁判所に提出する
ア)裁判所は必要な場合は職権で期間を延長できる
 ② 更生計画によって負担しまたは猶予される債務の期限
  ⅰ 更生計画認可の日から15年を超えない範囲で期限を定める
 ③ 更正計画の可決要件
  ⅰ 更正債権者の組では議決権総額の1/2以上の賛成
  ⅱ 更正担保権者の組では更生計画の内容により異なる
   ア)更正担保権の期限の猶予の定めをする場合は2/3以上
   イ)更正担保権の減免等の決議は3/4以上
   ウ)更正会社の事業の全部の廃止の決議は9/10以上の賛成が必要
 ④ 会議
  ⅰ 更正計画案の決議は関係人集会を開催して決議を行使する
  ⅱ 利害関係人多数で関係人集会の開催困難な場合書面での決議も認められる
7 営業譲渡
 ① 認可された更生計画に営業譲渡の定めがあればそれだけで可能
  ⅰ 通常は原則として株主総会の決議が必要
  ⅱ 会社更生の場合は時間がかかる事による損失を防ぐため迅速な処置が必要
 ② 裁判所の許可を得て管財人が営業譲渡を行う
  ⅰ 裁判所が営業譲渡を更正会社の事業の更正に必要であると認める時に可能
  ⅱ 更正手続開始後更生計画の決議案が決定するまでの間に行う
8 取引先との関係
 ① 更正手続開始決定後の取引の相手型
  ⅰ 更正会社の経営権は管財人に移行するので取引の相手方は管財人になる
 ② 取引先の債権の扱い
  ⅰ 更正債権の範囲
   ア)更正手続開始決定前に発生原因のある債権
  ⅱ 更正担保権の範囲
   ア)更正手続開始決定前に設定された担保権
  ⅲ 共益債権
   ア)更正手続開始決定後の取引に基づく更正会社に対する債権
   イ)取引条件にしたがって随時弁済される
 ③ 更正手続申立後の開始決定前に発生原因のある更正会社に対する債権
  ⅰ 保全管理人の行為によって発生した債権である場合には当然に共益債権
   ア)原則どおりなら更正債権となる
   イ)しかしこれを更正債権と扱うと後の事業の継続に重大な支障をきたす
   ウ)そこで保全段階での取引により生じた債権を共益債権とし保護する
 ④ 更正債権の届出
  ⅰ 裁判所は更正債権等の届出、更正債権等の調査の期間を定める
   ア)開始決定と同時に行う
  ⅱ 更正債権者等は期日までに届出ないと更正債権等を失権する
 ⑤ 公正手続開始決定後の強制執行・仮差押・仮処分・強制競売
  ⅰ 新たな手続の申立は禁止される
  ⅱ それまでに進行中の手続や担保権の実行としての競売手続は中止される
 ⑥ 債権者の相殺の時期および相殺の制限
  ⅰ 更正債権と更正会社に対する債務とは一定の場合相殺できる
   ア)相殺を行う場合は更正債権届出期間末日までに相殺しなければならない


第3節 破産手続の倒産に対応するための処理手続 [債権の管理と回収]

第3節 債務者の倒産に対応するための処理手続
Ⅰ 破産手続きと取引関係への影響
1 破産手続きとは
  ⅰ 債務者が総債務を完済する見込みがない場合に裁判所の監督のもと
    破産管財人が債務者の全財産を強制的に換価して総債権者に平等の
    割合で分配(配当)して清算すること
2 破産手続の特徴
  ⅰ 手続全般に裁判所が関与する厳格な手続
   ア)債権者に対する公正な配当が保証される
   イ)債権者は個別の権利行使が出来なくなる
   ウ)債権者は破産手続への参加が強制される
  ⅱ 最終的な整理手続と位置づけられる
   ア)他の法的整理が失敗した場合に行われるから
  ⅲ 自然人、法人ともに破産手続の対象になる
3 破産手続開始の申立
 ① 破産原因
  ⅰ 支払不能
   ア)弁済期にある債務を一般的継続的に弁済できない状態
  ⅱ 支払停止
   ア)支払不能であることを表示する債務者の行為
   イ)それ自体は破産原因でないが表示が事実であれば支払不能が推定される
  ⅲ 債務超過
   ア)債務者がその財産を持って完済できないこと
   イ)法人特有の破産原因
 ② 申立権者
  ⅰ 債権者または債務者が破産手続開始の申立をすることができる
  ⅱ 債権者が破産申立をする場合
   ア)債権の存在と破産原因があることを疎明しなければばらない
   イ)疎明:裁判官が一応の推測を得た状態
  ⅲ 債務者が自ら申立をすることを自己破産という
  ⅳ 法人の破産申立は理事、無限責任社員、取締役がなすことができる
   ア)法人のなす自己破産を特に準自己破産という
 ③ 管轄裁判所
  ⅰ 自然人については住所の所在地
  ⅱ 法人の場合は主たる営業所の所在地
   ア)親子会社の場合は親会社の主たる営業所でも可能
  ⅲ 債権者が多数の場合は大規模長にも管轄を認める
4 破産手続開始の申立から破産手続開始決定まで
 ① 早期破産開始手続開始決定の必要性
  ⅰ 債務者に債権者が押しかけ強引に自己の債務の回収を図ろうとするから
  ⅱ 早期に破産手続が開始できない理由
   ア)債権者による破産申立で破産原因の存在を争っているなど
 ② 保全処分
  ⅰ 裁判所は強制執行などの手続を中止することが出来る
   ア)利害関係人の申立があった時や
   イ)裁判所の職権で必要があれば行える
 ③ 包括的禁止命令
  ⅰ 裁判所は全ての債権者に対して強制執行等の手続を禁止することができる
  ⅱ 要件
   ア)個別的な強制執行等の中止命令では破産手続の目的を達成できないこと
   イ)事前又は同時に債務者の財産に保全処分・保全管理命令がなされること
  ⅲ 包括的禁止命令の申立は利害関係人又は裁判所の職権で出来る
 ④ 弁済禁止の保全処分
  ⅰ 裁判所は債務者に弁済禁止の保全処分ができる
   ア)破産手続開始の決定までの保全処分のうちの一つ
  ⅱ 効果
   ア)債権者は処分に反してなされた弁済等の効力を主張できなくなる
5 破産手続開始決定
 ① 破産手続開始の決定がなされる場合
  ⅰ 破産原因がある
  ⅱ 申立棄却原因が認められない
 ② 破産手続開始の決定がなされた後の処置
  ⅰ 1人又は数人の破産管財人を選定し
  ⅱ 破産債権の届出期間を定め
  ⅲ 債権者集会、破産債権の一般調査期間または調査日を定める
 ③ 債務者の財産の管理所分権は全て破産管財人に移行する
6 取引先との関係
 ① 破産手続開始決定後に債務者と取引を行う場合
  ⅰ その取引の相手方は破産管財人になる
 ② 破産手続開始決定前に発生原因のある債権の扱い
  ⅰ 破産債権:破産手続開始決定前に発生原因のある債権のこと
   ア)破産債権は原則として配当手続による配当を受ける
  ⅲ 破産債権の届出
   ア)破産債権者は一般調査期間又は一般調査期日までに届出を要する
  ⅳ 破産手続開始決定後の強制執行、仮差押等について
   ア)申立は禁止される
   イ)進行中の手続は効力を失う
 ③ 双方未履行の双務契約の取扱い
  ⅰ 破産管財人が双務契約の解除または履行を選択することができる
  ⅱ 破産管財人が解除を選択した場合
   ア)相手方は自己の反対給付が破産財団中にある場合
    a)返還を求めることが出来る
   イ)相手方は自己の反対給付が破産財団中にない場合
    a)その価額について財団債権者として権利行使できる
   ウ)相手方が解除により損害を被った場合
    a)損害賠償請求権等を破産債権に出来る
  ⅲ 破産管財人が履行を選択した場合
   ア)相手方の反対債権は財団債権として扱われる
  ⅳ 相手方は相当の期間を定めて履行又は解除の選択を求めることが出来る
   ア)もし確答がない場合は解除をしたとみなされる
 ④ 破産手続開始決定後に発生原因のある債権
  ⅰ 相手方の債権は財団債権とされる
 ⑤ 財団債権:破産財団から随時支払を受けることの出来る債権のこと
 ⑥ 破産者の財産に担保を設定している債権者の場合
  ⅰ 別除権
   ア)破産手続に関係なく担保等を実行して債権の回収を図ることが出来る権利
  ⅱ 別除権として認められる権利の種類
   ア)抵当権、根抵当権
   イ)特別の先取特権
   ウ)質権
   エ)商事留置権
   オ)譲渡担保
   カ)所有権留保など
  ⅲ 担保権消滅請求制度
   ア)破産管財人が別除権を消滅させる制度のこと
    a)売得金の一部を裁判所に納付する
    b)対象である財産を任意に売却できる
  ⅳ 商事留置権に関る別除権について
   ア)破産者の事業継続に必要ならその消滅を請求できる
    a)裁判所の許可を得ること
    b)財産の価額を支払うことが条件
 ⑦ 債権者の相殺権の行使と相殺の制限
  ⅰ 債権者が持っている破産者に対する債務と破産債権とを相殺できる
   ア)相殺の担保的機能の表れである
  ⅱ 無制限に相殺を認めると破産財団の財産が不当に減少するため制限がある
  ⅲ 相殺を制限するための条件
   ア)債権者が債務者の破産状態を知っていて取引したとき
    a)破産開始手続開始決定の前で直前ならばこれに該当する
7 否認権の行使
 ① 否認権
  ⅰ 破産財団が破産者の破産開始手続決定開始前の行為の効力を否認すること
 
8 配当
 ① 原則的な配当手続
  ⅰ 破産管財人は換価業務が終了し配当すべき金銭があれば最後配当を行う
   ア)換価業務は一般調査期間または一般調査期日の終了後に行う
   イ)最後配当は裁判所書記官に最期配当の許可申請を提出して行う
   ウ)最後配当に当たって配当表を作成し届出債権者に通知する
 ② 小額配当の特例
  ⅰ 配当金が小額の場合は破産債権者への配当はしない
  ⅱ 小額でも配当受領の意思表示をすれば配当される
 ③ 簡易配当手続と同意配当手続
  ⅰ 簡易配当手続:通常配当手続よりも手続が簡易化されたもの
  ⅱ 簡易配当手続がなされる条件
   ア)配当可能金額が1000万円以内の場合
   イ)または裁判所が簡易配当が相当であると認めた場合
    ・裁判所の決定は破産手続開始決定時に行う
    ・裁判所は意義確認の公告、通知を行う
    ・債権者は異議を唱えることが出来る
  ⅲ 同意配当:簡易配当よりもさらに簡易な配当手続
   ア)届出債権者の全員の同意があるときに行える
9 個人の破産手続における留意点
 ① 同時廃止
  ⅰ 破産手続開始決定と同時に破産手続を終了させる処置
  ⅱ 破産者の資力が乏しく破産手続の費用すら賄えない場合にとられる
 ② 自由財産
  ⅰ 破産財団を構成しない財産のこと
  ⅱ 自由財産の種類
   ア)破産者が破産手続開始後始めて取得するに至った財産
   イ)標準的世帯の2か月分の生活必要費の3/2
    a)現在必要費が66万円なので3/2は99万円
   ウ)差押禁止財産
   エ)管財人が放棄した財産
  ⅲ 裁判により自由財産の範囲を拡張することが出来る
 ③ 免責
  ⅰ 債務の支払を免れることができること
  ⅱ 免責決定を受けて免責できる
   ア)破産しただけでは債務の免責にはならない
  ⅲ 免責決定の申立は破産手続開始の申立と同時に行うことが出来る
  ⅳ 免責の効果
   ア)免責の申立があった場合は強制執行等が禁止される


第2節 その他債権回収に関連する事項 [債権の管理と回収]

Ⅲ その他債権回収に関連する事項
1 詐害行為取消権(または債権者取消権)について
 ① 詐害行為取消権とは
  ⅰ 債務者が一般債権者を害する目的で法律行為を行った場合にその行為の
    取消を裁判所に請求する制度である
 ② 詐害行為取消権の要件
  ⅰ 債務者が債権者を害する法律行為(詐害行為)をしたこと
   ア)債権者を害するとは無資力になることである
  ⅱ 債務者が詐害の事実を知っていること
   ア)立証責任は債権者にある
  ⅲ 詐害行為の受益者、あるいは受益者からの転得者が悪意であること
   ア)立証責任は受益者あるいは転得者にある
   イ)受益者悪意で転得者善意の場合、転得者には取消権を行使できない
   ウ)受益者善意で転得者悪意の場合は転得者でも取消権を行使できる
 ③ 具体的事例にみる詐害行為と認められるかどうか
  ⅰ 不動産の場合は相当の代価で売却しても原則として詐害行為にあたる
   ア)費消しやすい金銭に代えることは担保価値を減少させるから
  ⅱ 債務を弁済する行為は原則として詐害行為にあたらない
   ア)債務の弁済は本来的な行為だから
   イ)ただし債務者が一部の債権者と詐害の意思を持って共謀した場合は
詐害にあたる
  ⅲ 一部の債権者の為に担保を設定する行為は原則として詐害に当たる
   ア)しかし子供の教育費を調達する目的などは詐害行為に当たらない
   イ)取引先による担保権実行を回避して営業を継続する必要のある場合は
     詐害行為に当たらない
 ④ 詐害行為取消権の行使における注意点
  ⅰ 詐害行為取消権を行使する相手方は受益者または転得者である
   ア)債務者は被告にならない
   イ)勝訴すると詐害行為は取消され目的物返還または価額賠償請求をする
  ⅱ 詐害行為取消権行使の結果目的物は債務者に返還されるか債権者に渡るか
   ア)不動産であれば登記が債務者に戻されその上で強制執行する
   イ)金銭の場合には債権者は自己に引き渡すように請求できる
  ⅲ 債権回収の手段として代物弁済、債権譲渡をする時の注意点
   ア)代物弁済契約等が詐害行為取消権に該当しないか調査する
  ⅳ 詐害行為取消権の目的物に関する注意点
   ア)財産が転々流通すると強制執行などの実効性が失われる
   イ)そこで処分禁止の仮処分の申立てをするのが一般的
2 債務引受
 ① 債務引受とは
  ⅰ 契約によって債務をその同一性を維持したまま移転させること
  ⅱ 引受人は債権者に当該債務の弁済をなす義務を負う
  ⅲ 履行引受
   ア)履行引受は債務の履行を引受ける点で債務引受と同じ
   イ)しかし履行引受は債権者との間には法律関係はない
 ② 債務引受の種類
  ⅰ 重畳的債務引受
  ⅱ 面積的債務引受の2種類がある
 ③ 重畳的債務引受
  ⅰ 引受人が原債務者と共に債務を負う形の債務引受のこと
  ⅱ 重畳的債務引受の成立 
   ア)債務者、原債権者、引受人の3者による合意
   イ)債権者と引受人
   ウ)原債務者と引受人の合意でも成立する
  ⅲ 重畳的債務引受の効果
   ア)原債務者と引受人の関係
    a)当事者に合意があればそれに従う
    b)合意がなければ民法上の連帯債務関係になる
   イ)従来の債務についての保証や担保権などは存続
  ⅳ 債務引受の合意に重畳的債務引受か免責的債務引受か区別がない場合
   ア)重畳的債務引受とする
 ④ 免責的債務引受
  ⅰ 引受人のみが債務を引受けて原債務者は債務を免れる債務引受のこと
  ⅱ 成立
   ア)債権者、原債務者、引受人による3者の合意
   イ)債権者と引受人による合意
   ウ)原債務者と引受人による合意では免責的債務引受は成立しない
    a)ただし債権者の承認または追認があれば成立する
  ⅲ もとの債務に付されていた保証、担保など
   ア)法定担保物権は免責的債務引受後も存続する
   イ)保証や約定担保物権は免責的債務引受と共に消滅する
    a)改めて設定契約を締結しなければならない


第2節 日常的な債権の管理・回収 [債権の管理と回収]

Ⅱ 日常的な債権の管理・回収
1 日常的な信用管理
 ① 契約関係書類の整備と債権残高の確認
  ⅰ 契約書には細部まで記述する
   ア)大筋で合意しても細部で紛争になることがある
   イ)契約書は未然に紛争を防止することが大切
  ⅱ 契約交渉時点でのメモや議事録は取っておく
   ア)後日紛争になった時の証拠になる
  ⅲ 契約どおりに相手方が履行しているか否かを確認する
   ア)契約書には契約内容、支払条件、免責等の規定が設けられている
 ② 信用調査データの補充と管理
  ⅰ 信用調査は常に新しいものにしておく
   ア)相手方の信用状況は常に変化するから
  ⅱ 調査データの管理には十分に気をつける
   ア)相手方が個人の場合は個人の名誉、プライバシーにかかわるから
 ③ 担保物権・債務保証の確保と定期的点検
  ⅰ 契約で担保権が設定されている場合は実際に登記されているか確認する
  ⅱ 後順位担保権の設定があるか否かを確かめる
   ア)後順位担保権がある場合は被担保債権の額、債権者を確かめる
  ⅲ 担保価値の点検と債権保全
   ア)保証人の補償能力、担保価値は常に変化する
   イ)担保価値等が減少していたら増担保、代担保などを求める
 ④ 契約後における相手方の様々な変化への対応
  ⅰ 相手方の経済状態は常に変化している
  ⅱ 当初収集した情報を更新する必要がある
  ⅲ 経営状況の変化、代金債権の残高、支払い状況は定期的に確認するべき
2 危険兆候への対処
  ⅰ 債権残額の確認
  ⅱ 債権回収状況の再点検
  ⅲ 担保物権の評価見直しと増担保、代担保の要求
  ⅳ 債務者の最近③期間の事業報告書、有価証券報告書、決算書等の点検
 


第1節 契約締結前の信用調査と与信管理 [債権の管理と回収]

第1節 日常的な債権の管理
Ⅰ 契約締結前の信用調査と与信管理
1 信用調査の手段
 ① 信用調査の目的
  ⅰ 取引先の業界や環境を的確に把握する
  ⅱ 顧客の物的・人的信用状態を把握する
 ② 信用調査の手段
  ⅰ 民間信用調査機関を通じて行う方法
  ⅱ 営業担当者が直接話し合う方法

2 調査の方法
 ① 法的検討事項
  ⅰ 法人種類に応じて確認する
   ア)登記簿、定款、寄付行為、規約など
   イ)理事、代表取締役の制限など
  ⅱ 取引に関する法的規制の有無
   ア)取引の種類により監督官庁の許認可が必要なことがある
   イ)例えば建設業なら建設業法に基づき国土交通大臣又は知事の許可がいる
 ② 財務的検討事項
  ⅰ 安全性の分析
   ア)自己資本比率、借入金依存度、経常収支比率、流動比率、当座比率など
  ⅱ 収益性の分析
   ア)売上高経常利益率、売上高利益率、自己資本利益率、売上高人件費率など
  ⅲ 成長性の分析
   ア)成長性が高ければ債権回収率の高さや取引拡大の可能性を示す
   イ)増収率、経常利益増加率など


第1節 流動資産の運用・管理の法的側面 [会社財産の管理・活用と法律]

第4章 会社財産の管理・活用と法律
第1節 流動資産の運用・管理の法的側面
1 預金
 ① 預金の法的性格
  ⅰ 普通預金の法的性格は消費寄託契約
  ⅱ 当座預金は混合契約
   ア)銀行と取引先との間の当座勘定取引契約
   イ)手形・小切手の支払委託に関する契約
  ⅲ 預金債権は指名債権
   ア)預金者は銀行に対して預金の払い戻しを請求する権利を取得する
   イ)預金債権は特定人を債権者とする債権である:指名債権
  ⅳ 預金通帳
   ア)預金通帳には預金約款が記載されていることが多い
   イ)預金取引の存在を証明する契約証書という性格がある
   ウ)権利と証券が一体不可分となっているわけではない
  ⅴ 預金通帳、証書の紛失
   ア)預金通帳は単なる証拠証券に過ぎない
   イ)預金者の返還請求権がなくなるわけではない
   ウ)預金通帳の所持人は正当な権利者と考えられる
    ・銀行の払い戻しは有効となる
    ・預金残高から引かれることもある
 ② 銀行の弁済
  ⅰ 指名債権の原則
   ア)正当な預金者に払い戻さなければ弁済は完了しない
  ⅱ 通量、証書及び印鑑の所持人が正当な権利者でない場合の弁済
   ア)銀行が善意無過失であること
   イ)正当な権利者でない債権の準占有者に対する弁済も有効となる
   ウ)通帳、証書は一種の免責証券の役割を果たす
 ③ 預金の種類
  ⅰ 普通預金:典型的な流動資産
  ⅱ 通知預金
   ア)1口5万を最低限とする
   イ)預入れ期間の定めはない
   ウ)預入れ日から7日間は据え置く
   エ)払い戻しには本来2日間以前に通知することが条件
  ⅲ 定期預金:期間を定めて預入れ、その期間は払い戻し請求が出来ない
  ⅳ 総合講座:普通預金と定期預金または当座貸越取引を組合わせたもの
  ⅴ 当座預金
   ア)手形、小切手の支払委託をした場合に予め銀行に預けておく預金
   イ)この預金および支払委託関係を総称して当座勘定という
   ウ)不渡り、第三者への損害などがあるため銀行は信用力を調査する
  ⅵ 譲渡性預金:第三者に譲渡できる預金
   ア)この預金の発行はあいたい発行
    ・銀行と顧客の個別交渉による
    ・金額、期間、金利などの発行条件は個別交渉で決める
   イ)民法に定める指名債権譲渡の方法による
  ⅶ 大口定期預金
   ア)1口1千万円以上の定期預金の利率は銀行が自由に設定できる
2 有価証券
 ① 有価証券取引の基礎としての証券取引法
  ⅰ 証券取引法の目的
   ア)国民経済の適切な運営
   イ)投資者の保護
  ⅱ 証券市場の整備
   ア)ディスクロージャー:投資家に事実を知らせる
   イ)不公正取引の防止:不公正な取引によって損害を蒙らないようにする
 ② 有価証券
  ⅰ 商法上の有価証券
   ア)手形、小切手、株券、社債券、貨物引換証、船荷証券など
  ⅱ 証券取引法上の有価証券
   ア)流通性や投資適格性を勘案して記載されている
   イ)国債証券、金融債、社債券、株券、コマーシャルペーパーなど
ⅲ 証券取引法上の有価証券に該当した場合の規制
   ア)開示規制
   イ)不公正取引規制
   ウ)業務規制


第2節 損害賠償による紛争の解決 [会社取引の法務]

Ⅲ 損害賠償による紛争の解決
1 民事訴訟を起こして裁判所の判断が必要な場合
 ① 加害者・被害者間での話し合いがつかない場合
  ⅰ 損害賠償責任の有無
  ⅱ 損害賠償責任の金額など
 ② 問題点
  ⅰ 判決までに長期間が必要
  ⅱ 控訴などでさらに長期化することもある
 ③ 民事訴訟以外にも様々な解決手段が用意されている

Ⅳ 損害賠償リスクへの対応
1 リスクへの対応策
 ① 予防措置を講じる
  ⅰ 商品の品質管理を徹底する
  ⅱ 業務管理を徹底する
  ⅲ 万一紛争が発生した場合に備えて社内文書を保管する
 ② JIS9900やISO9000シリーズ
  ⅰ 業務管理システムに関して基準を明確にしたもの
 ③ 損害賠償責任が生じた場合の経済的リスクに備える
2 損害賠償責任保険
 ① 損害賠償責任を負担したために被る損害をてん補する保険
 ② 保険契約者に保険金が支払われない場合
  ⅰ 保険契約者の故意による損害
 ③ 保険の種類
  ⅰ 損害賠償の種類に応じて保険の種類がある
  ⅱ 具体例
   ア)製造物責任に対応する製造物賠償責任保険
   イ)会社役員の責任に対応する会社役員賠償責任保険
   ウ)自動車保険など


第2節 法律上の損害賠償責任が問題となる場面 [会社取引の法務]

Ⅱ 法律上の損害賠償責任が問題となる場面
1 企業活動上の事故
 ① 施設の欠陥や管理の不備に起因する責任
  ⅰ 第一義的には施設の管理者が責任を負う
   ア)損害発生防止のための注意を果たしたと証明できれば責任を負わない
   イ)上記証明は大変困難
  ⅱ 施設管理者の責任が問えない場合は施設所有者が責任を負う
   ア)無過失責任
② 施設の用法に伴う業務の遂行に起因する責任
 ⅰ 施設の用法に伴う業務とは
  ア)その施設がなければできない業務のこと
 ⅱ 具体例
  ア)デパートのバーゲン売り場で客が殺到したため負傷者がでた
  イ)スキューバダイビング教室の訓練中に生徒が水死したなど
 ⅲ 債務不履行責任に問われる
  ア)施設利用者に対して安全配慮義務を負っている
  イ)安全配慮義務違反にあたる
 ⅳ 同時に不法行為責任も問題になる
   ア)上記スキューバでインストラクターに故意・過失がある場合など
 ③ 請負業者が負担する責任
  ⅰ 請負業者が負う法律上の損害賠償責任は
   ア)発注者に対する債務不履行責任、担保責任
   イ)第三者にたいする不法行為責任
   ウ)地盤沈下、工事の騒音・塵埃の発生などによる損害賠償責任など
 ④ 製造物の製造者・販売者、仕事の完成者が負担する責任
  ⅰ 広い意味での製造物責任がある
   ア)他人の生命・身体を害した
   イ)他人の財物を損壊した
   ウ)他人に休業を余儀なくさせた
 ⑤ 他人の財産の受託者が損壊・盗難により預け主に対して負う責任
  ⅰ 債務不履行責任
   ア)受託者と預け主の間には契約関係が成立する
   イ)受託者の責任は受託の態様により異なる
  ⅱ 一般の商人の場合
   ア)営業の範疇内であれば善管注意義務を負う
   イ)善管注意義務の範囲内で責任を負う
  ⅲ 旅館・飲食店・浴場の場合
   ア)不可抗力によって生じたことを証明しない限り責任を負う
2 労働災害の発生に対して企業が負担する法律上の損害賠償責任
 ① 労働災害により発生する損害賠償責任の種類
  ⅰ 発生要因
   ア)従業員による負傷、疾病、後遺障害、死亡
   イ)業務の遂行による
  ⅱ 労働災害による責任の種類
   ア)労働基準法上の責任
   イ)不法行為による損害賠償責任
   ウ)債務不履行による損害賠償責任
   エ)損害担保契約による責任など
  ⅲ 損害賠償責任を免れる場合
  ⅳ 政府労災保険の履行
   ア)給付額を限度として民法上の損害賠償責任を免れる
 ② 労働基準法上の責任
  ⅰ 労働災害である限り一定の補償義務を負わせる
   ア)故意、過失、安全配慮義務違反の有無にかかわらない
   イ)一種の無過失責任である
 ③ 私法上の損害賠償責任
  ⅰ 不法行為に基づく損害賠償責任
   ア)故意、過失がある場合
   イ)故意、過失がなくとも施設に欠陥がある場合
  ⅱ 債務不履行に基づく損賠償責任
   ア)労働者の生命と健康に対する安全配慮義務違反
    a)労働契約に基づく
  ⅲ 損害担保契約上の責任
   ア)企業が就業協約、就業規則の中で法定外補償を契約した場合の責任
   イ)労働基準上の災害補償、労災保険法上の保険給付の上乗せ補償
3 公害
 ① 企業活動に伴って周辺住民の健康や生活環境が害されること
 ② 不法行為による損害賠償責任として追及される
  ⅰ 過失や因果関係の証明は極めて困難
  ⅱ 近時、被害者に有利な方理論も展開される
   ア)公害と損害との因果関係の存在については厳密な証明がいらないなど
  ⅲ 無過失責任を負わせる特別法
   ア)大気汚染防止法
   イ)水質汚濁防止法など
 ③ 公害防止のため環境アセスメントの実施手続が細かく定められている
4 自動車事故
 ① 自動車事故と損害賠償
  ⅰ 自動車損害賠償法
   ア)自家用車の所有者に適用される特別の責任
   イ)人の生命・身体を害した場合に適用
 ② 運行供用者の責任
  ⅰ 責任の過重
   ア)損害賠償責任を免れることが難しい
   イ)3つの要件のすべてを証明できれば免れえる
  ⅱ 3つの要件
   ア)自己および運転者が自動車の運行に関して注意を怠らなかった
   イ)被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があった
   ウ)自動車構造上の欠陥又は機能上の障害がなかった
  ⅲ 無過失責任とは異なる
   ア)不可抗力の場合は責任を免れる
   イ)正当防衛による事故の場合は責任を免れる
  ⅳ 一般の不法行為と同様の点
   ア)加害行為と損害との間に相当の因果関係がある
   イ)加害者は相当の因果関係の範囲内で損害賠償責任を負う
 ③ 自動車事故と過失相殺
  ⅰ 一般の不法行為と同様に過失相殺が生じる
  ⅱ 過失相殺は類型化され諸事情を考慮して過失割合が決まる
   ア)自動車事故の数は多いので経験則によりわかっていることも多い
   イ)自賠責保険・自動車保険適用の関係上類型化する必要性が高い
5 専門職業人の損害賠償責任
  ⅰ 専門的職業人は高度の信頼関係に基づいて行われる
   ア)医師、弁護士、公認会計士など
  ⅱ 依頼者や第三者に損害を与えればその損害を賠償しなくてはならない


第2節 不法行為における損害賠償額の範囲と額の算定 [取引を行う主体]

第2節 損害賠償に関する法律関係
Ⅰ 不法行為における損賠賠償の範囲と額の算定
1 不法行為責任が成立する要件
 ① 損害が発生していること
 ② 故意又は過失による行為によること
 ③ 加害行為と損害との間に因果関係があること
 ④ 加害行為が違法であること
 ⑤ 行為者に責任能力があること
2 不法行為が成立した場合の効果
 ① 被害者の加害者に対する損賠賠償責任が発生する
3 損害賠償の範囲
 ① 損害賠償の対象
  ⅰ 加害行為によって生じた損害
  ⅱ 加害行為と損害との間に因果関係があること
 ② 因果関係の3つの側面
  ⅰ 成立要件としての因果関係
  ⅱ 対象範囲の基準としての因果関係
  ⅲ 損害賠償の金銭評価としての因果関係
 ③ 因果関係とは
  ⅰ その行為がなければその損害は発生しなかった
  ⅱ 通常そのような行為があればそのような損害が生じることを予見できる
 ④ 損害賠償の範囲
  ⅰ 加害行為の結果として通常発生すべき損害(通常損害)
  ⅱ 特別の事情による損害も範囲に入る場合
   ア)加害行為のときに当事者が予見可能だった損害
4 損害額算定の基準時
 ① 物価の騰貴・下落がある場合に問題となる
 ② 因果関係からは原則として加害行為のときが基準
 ③ 特別の事情があるときはその価額になる
  ⅰ 加害行為の後に価額が高騰した場合など
  ⅱ 特別の事情についての予見可能性がなくては認められない
5 財産的損害の場合の賠償額の算定
 ① 所有権の侵害
  ⅰ 所有物が滅失した場合は滅失時の時価が損害額となる
  ⅱ 所有物が毀損した場合は修繕費用が損害額となる
 ② 生命の侵害
  ⅰ 死亡による財産的損害が損害額となる
   ア)死亡による財産的損害とは逸失利益のこと
   イ)逸失利益とは生存していれば得られたであろう収入の喪失のこと
  ⅱ 逸失利益の計算方法
   ア){(死亡当事の年収-本人生活費)×稼働可能年数}-中間利息
 ③ 身体の障害
  ⅰ 治療費、付添費、義足代などの実費
  ⅱ 治療期間中の得られなかった利益
  ⅲ 後遺障害で労働力低下により得られなかった利益など
 ④ 賃貸借の損害
  ⅰ 賃貸料相当額
 ⑤ 担保権の侵害
  ⅰ その侵害により債権が担保されなくなった部分
 ⑥ その他財産的損害
  ⅰ 名誉・信用の毀損による収入減少
  ⅱ 不法行為に基づく間接的な財産損害
   ア)自動車修理中の代替交通機関の利用代など
6 非財産的損害の算定
 ① 非財産的損害の種類
  ⅰ 精神的損害
  ⅱ 名誉・信用の毀損による損害など
 ② 精神的損害
  ⅰ 被害者が受けた精神的苦痛に相当するもの
  ⅱ 賠償額は慰謝料として支払われる
  ⅲ 慰謝料には明確な算定基準はない
   ア)加害の程度、当事者の社会的地位などが考慮される
  ⅳ 物損についての慰謝料は認められない
  ⅴ 社会てきにみて相当と思われる額が慰謝料額とされる
  ⅵ 慰謝料は硬直化する財産的侵害に対する賠償額の調整の機能
7 損益相殺・過失相殺
 ① 被害者の利益
  ⅰ 被害を受けた事で利益を受けるのは好ましくない
  ⅱ 被害者が被害を受けた際の調整手段は2つ
   ア)損益相殺
   イ)過失相殺
   ウ)調整は損害賠償の公平の為に行われる
 ② 損益相殺
  ⅰ 被害者が損害を受けながら利益も得た時に賠償額から利益を控除すること
  ⅱ 被害者の利益に該当しないもの
   ア)任意加入の生命保険・傷害保険
   イ)保険金は保険料支払に対する反対給付と考えられる
   ウ)香典・見舞金も損益相殺の対象にならない
 ③ 過失相殺
  ⅰ 被害者にも過失がある場合
   ア)損害の公平な分配という観点から考慮
   イ)損害額から被害者の過失割合額を差し引く
  ⅱ 事理弁識能力
   ア)過失相殺は被害者にも過失がなくてはならない
   イ)この場合の過失とは
    ・被害者が損害の発生を避けるのに必要な注意をする能力
    ・これが事理弁識能力である
   ウ)過失相殺の成否は事理弁式脳力だけでなく被害者の過失も考慮される
 ④ 被害者の過失
  ⅰ 被害者側の過失として考慮される事項
   ア)被害者と一定の関係にある被害者以外の者の過失
    ・被害者の子供の場合の親権者の監督責任
   イ)損害の公平な分配の観点から妥当な範囲に限定される
    ・子供であっても保育園の保育士が加害者なら過失相殺されない
8 債務不履行に基づく損害賠償責任と不法行為に基づく損害賠償責任の関係
 ① 法律関係の相違
  ⅰ 同じ点:加害者が被害者に対して損害賠償責任を負う
  ⅱ 相違点
   ア)債務不履行責任は契約などの当事者間で債権債務関係があること
   イ)不法行為は債権債務関係がなくとも成立する
 ② 債務不履行・不法行為の比較
  ⅰ それぞれ責任が認められる要件が異なる別個の制度
   ア)それぞれが独立して成立する
  ⅱ 両方の成立要件が満たされれば両方とも成立する
  ⅲ 被害者は両方の責任が成立すればどちらかを選択できる
 ③ 主張・証明責任
  ⅰ 債務不履行責任の証明責任は被害者にある
   ア)被害者は債務をきちんと履行したことを証明しなくてはならない
  ⅱ 不法行為責任の証明責任は被害者側にある
   ア)被害者は相手方の故意・過失により損害を被ったことを証明する
  ⅲ 特殊な不法行為責任は証明責任の転嫁が図られる
   ア)加害者が故意・過失のないことを証明しなくてはならない
 ④ 損害賠償請求権の消滅時効
  ⅰ 債務不履行に基づく損害賠償請求権の場合
   ア)民事債権については10年
   イ)商事債権については5年
  ⅱ 不法行為に基づく損害賠償請求権の場合
   ア)損害及び加害者を知ってから3年
   ウ)不法行為のときから20年
 ⑤ 金銭債務の特則
  ⅰ 債権者は損害の証明が要らない
  ⅱ 債務者は不可抗力を理由に債務不履行責任を免れることは出来ない
  ⅲ 履行の請求を受けた時から利率により損害賠償額が計算される
   ア)民事法定利率5%
   イ)商事法定利率6%
   ウ)約定があればその利率で計算される
  ⅳ 不法行為の損害賠償額の計算
   ア)不法行為があった時から民事法定利率の5%で計算される
 ⑥ 損害賠償額の予定
  ⅰ 履行遅滞や履行不能があったときに違約金を取る旨の契約は有効
  ⅱ 違約金は損害賠償額の予定と推定される
  ⅲ 損害賠償額の予定の効果
   ア)債務者は実際の損害が小さいことを証明しても減額できない
   イ)債権者は実際の損害が大きいことを証明しても増額できない
   ウ)裁判所は約定された予定額で判断する/これを増減することはできない


第1節 保険契約 [会社取引の法務]

Ⅵ 保険契約
1 保険契約の種類
 ① 損害保険契約
  ⅰ 定義
   ア)当事者の一方が一定の偶然の事故によって生ずる損害をてん補する
   イ)相手方が対価を支払う
  ⅱ 特徴
   ア)損害てん補の契約
   イ)偶然の事故が対象であること
② 生命保険
  ⅰ 定義
   ア)当事者の一方が相手方又は第三者の生死に関して一定の金額を支払う
   イ)相手方がこれに対価を支払う
  ⅱ 特徴
   ア)定額払いであること
   イ)時期のみ不確定で発生事態には偶然性がないものが対象
2 保険契約の成立
 ① 諾成契約
 ② 実務上は書面の作成が必要
  ⅰ 内閣総理大臣から営業免許を取得する際に規定されている
 ③ 保険金の支払開始時期
  ⅰ 約款により保険金支払前の事故には支払われない
3 保険契約の射倖性
 ① 射倖:偶然の出来事に左右されること/賭博など
 ② 射倖契約:当事者の利得・損失の均衡関係が偶然に左右される契約
  ⅰ 保険契約は偶然性に左右されるので射倖契約の一つ
 ③射倖契約の効果
  ⅰ 著しく射倖性が高いものは公序良俗違反で無効
  ⅱ 保険契約における射倖性の弊害回避のチェック方法
   ア)被保険者には保険事故が発生しない事について経済的利益があるか
   イ)保険金額が世間の相場に比して不当に高くないか


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