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第2節 株式会社における業務執行者 [取引を行う主体]

Ⅴ 株式会社における業務執行者
1 取締役の役割と責任
 ① 取締役と会社の関係
  ⅰ 委任関係
  ⅱ 委任に基づく善管注意義務
  ⅲ 商法上の規定による忠実義務
 ② 取締役の競業避止義務
  ⅰ 競業避止義務の対象となる取引
   ア)会社の営業と同種又は類似の商品・役務を対象とする取引
   イ)会社と競合関係を生じるもの/小売と卸は競合しない
   ウ)会社が一時休止している事業
   エ)営業の準便着手している事業
   オ)会社の事業が発展して競合する可能性があるも事業
  ⅱ 競業取引に当たらないもの
   ア)定款の目的としてあっても会社が行う準備を全くしていない事業
   イ)定款目的であっても完全に撤退した事業
  ⅲ 競合取引をする場合の手続き
   ア)取締役が事前に情報を開示して取締役会の承認をとる
   イ)事後に報告をする
  ⅳ 取締役会の承認を得ないで競合取引を行った場合の効果
   ア)取引自体は有効
   イ)会社は取締役の義務違反を理由に損賠請求できる
   ウ)介入権を行使できる:取引を会社のためにしたものとみなす権利
 ② 利益相反取引の制限
  ⅰ 利益相反取引とは
   ア)自己取引:会社と取締役の間で利益が相反する取引
   イ)間接取引:会社と第三者の取引/取締役が保証人であるものなど
  ⅱ 取締役会の承認を得ないで行った利益相反取引の効果
   ア)会社との関係では無効
   イ)取締役と代表取締役は損賠責任を負う
 ③ 取締役の責任
  ⅰ 善管注意義務
  ⅱ 忠実義務
  ⅲ 第三者に対する責任
  ⅳ 取締役の責任は総株主の同意で免除できる
  ⅴ 一定額を限度として取締役の責任を免除できる
   ア)株主総会の特別決議
   イ)定款規定に基づく取締役会決議
2 取締役および取締役会
 ① 取締役会の形骸化
  ⅰ 株主総会の形骸化により代表取締役が取締役の選任権を掌握した
  ⅱ 業務執行の分化が進行した結果取締役が十分な情報を得られない
 ② 常務会
  ⅰ 複雑な経済環境下において機動的な意思決定を行う役割
  ⅱ 任意機関
  ⅲ 法廷の機関ではないため決議事項は取締役会の決議が必要になる
  ⅳ 重要財産委員会
   ア)法定の機関
   イ)取締役会決議事項の一部を取締役会により委任された者が決議できる
    ・重要な財産の処分・譲渡
    ・多額の借財
 ③ 取締役会の活性化の試み
3 代表取締役の役割と責任
 ① 代表取締役:会社を代表し会社の業務執行を行う機関
 ② 取締役・取締役会の関係
  ⅰ 代表取締役の権限
   ア)取締役会で決定した業務執行事項を執行する
   イ)営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為をなす権限を有する
   ウ)取締役会の監督に服する
  ⅱ 代表取締役の終任事由
   ア)取締役としての資格の喪失
   イ)任子の満了
   ウ)代表取締役の辞任
   エ)取締役会の決議による代表取締役の解任
 ③ 複数の代表取締役と共同代表取締役
  ⅰ 原則:複数の代表取締役がいても各自が会社を代表する
  ⅱ 共同代表取締役:複数の代表取締役が共同してのみ会社を代表できる
   ア)業務執行を慎重に行わせるため
   イ)代表権の濫用を防ぐため
   ウ)登記しなければならない
 ④ 代表権の確認
  ⅰ 代表権の制限
   ア)定款、取締役会決議のなどで代表取締役の権限を制限できる
   イ)代表取締役の制限は善意の第三者に対抗できない
   ウ)共同代表の場合は登記されているから善意の第三者にも対抗できる
 ⑤ 役付け取締役とは
  ⅰ 定款で取締役のうち会長・社長・副社長・専務などを設けること
  ⅱ 商法上の規定ではない
 ⑥ 表見代表取締役
   ↑第三者が代表権のない役付け取締役を代表権があると誤信すること
  ⅰ 表見代表取締役に当たる場合
   ア)会社がその名称の使用を取締役に許諾していること
   イ)取引の相手方がその名称ゆえに代表権があると誤信すること
   ウ)取引は直接会社に及ぶ
 ⑦ 会社債務と代表取締役
  ⅰ 原則:会社債務につき直接的な責任を負担しない
  ⅱ 現実:非上場企業などの場合は代表取締役に連帯保証を求める場合が多い
4 監査役の役割
 ① 業務監査権と会計監査
  ⅰ 監査役とは:取締役の職務執行の監査にあたる機関である
  ⅱ 監査役の権限
   ア)原則として会計監査のみならず業務監査にも及ぶ
   イ)適法性監査はある:取締役の行為が法令・定款に違反していないか
   ウ)妥当性監査には及ばない:取締役の行為が経営にとって妥当か不当か
   エ)監査役会
    ・大会社は強制される
    ・個々の監査権は独立して付与される
 ② 監査役の職務権限・義務
  ⅰ 報告聴取・調査権
   ア)いつでも取締役・使用人を問わず営業の報告を求めることが出来る
  ⅱ 子会社調査権
   ア)職務上必要な場合のみ
   イ)子会社に対しても営業の報告を求めることが出来る
  ⅲ 調査・報告義務
   ア)取締役が株主総会に提出する書類を調査する
   イ)法令・定款・著しく不当な場合は株主総会に報告する
  ⅳ 取締役会出席義務・意見陳述義務・取締役会召集権
   ア)取締役会出席は義務で必要な場合は意見を述べる
   イ)取締役が会社の目的の範囲外・法令・定款に違反する場合または違反する
    畏れのある場合は取締役会に報告しなくてはならない
  ⅴ 差止請求権
   ア)取締役が会社の目的・法令・定款に違反または会社に著しく損害を及ぼす
    可能性のある場合はその行為をやめるよう請求することが出来る
  ⅵ 監査役の辞任に関する意見陳述権
   ア)辞任後最初の株主総会でその理由を陳述できる
   イ)その他の監査役の選任・辞任についても陳述できる
  ⅶ 監査役の選任議案の同意権
   ア)大会社・みなし大会社の場合監査役の選任議案は監査役会の同意が必要
 ③ 会計監査人
  ⅰ 大会社みなし大会社は会計監査人を株主総会にて選任する
  ⅱ 会計検査人の権限
   ア)定時株主総会にて意見を述べることができる
   イ)選任・不再任・解任につき株主総会で意見を述べることが出来る
 ④ 監査特例法の重要性
  ⅰ 大会社に多くの規定がある
    ↑資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社
  ⅱ みなし大会社:資本金1億円以上かつ定款にみなし大会社となる規定
   ア)重要財産委員会や委員会等設置会社の規定などが適用される
   イ)多くの場合大会社と同じ規定を受ける
5 委員会等設置会社の仕組み
 ① 委員会等設置会社
  ⅰ 執行役:業務執行権限を有する
  ⅱ 指名委員会:取締役の候補者を決定する
  ⅲ 監査委員会:取締役、執行役の職務執行の監査等を行う
  ⅳ 報酬委員会:取締役、執行役の報酬を決定する
  ⅴ 取締役会:経営の基本方針、執行役の選任、法廷事項の決定など
   ア)多くのものを執行役にたいして委任することが出来る
  ⅵ 監査役・監査役会は設置することができない
  ⅶ 代表取締役も存在しない
 ② 委員会等設置会社における取締役会
  ⅰ 会社の業務執行のすべてについて決定する権限を有する
  ⅱ 取締役会の決定が必須な一定の事項を除き業務執行を執行役に委任できる
 ③ 指名委員会:取締役の選任・解任に関する議案の内容を決定する機関
 ④ 監査委員会と監査委員
  ⅰ 監査委員会
   ア)取締役・執行役の職務執行を監査する
   イ)会計監査人の選任・解任および不再任議案を検定する
   ウ)監査委員会を構成する取締役
    ・当該会社および子会社の執行役・支配人・その他の使用人を兼任できない
  ⅱ 監査委員
   ア)執行役が定款目的の範囲外の行為・法令・定款違反または違反の恐れの場合
    ・単独で取締役会に報告する義務
   イ)執行役が違法行為または当該行為により会社に著しい損害の恐れの場合
    ・当該行為をしようとしている執行役に対して差止請求が出来る
   ウ)監査委員の権限
    ・取締役・執行役などに対する職務執行に関する報告請求権
    ・業務・財産状況調査権
    ・子会社調査権
    ・会社対取締又は執行役間の訴訟、株主代表訴訟の会社代表権
    ・会計監査人の選任・解任・不再任議案の決定
 ⑤ 報酬委員会:取締役・執行役が受ける個人別の報酬の内容を決定する機関
 ⑥ 執行役:取締役会により委任された事項の業務執行をする機関
  ⅰ 執行役は取締役会に委任された事項の業務執行の決定権・執行権を有する
  ⅱ 取締役は執行役を兼任できる
  ⅲ 執行役と会社との関係は委任関係
   ア)善管注意義務・忠実義務がある
   イ)会社に対する任務懈怠の責任がある
  ⅳ 悪意又は重過失の場合は第三者に対しても責任がある
 ⑦ 代表執行役:会社を代表する機関である
  ⅰ 営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限を有する
6 理事、執行役員
 ① 理事
  ⅰ 民法上の理事:業務執行機関であり法人の代表機関
  ⅱ 株式会社の理事:任意の機関であり法的には商業使用人
 ② 執行役員
  ⅰ 委員会等設置会社の執行役とは異なる制度
  ⅱ 会社の機関ではなく法的には商業使用人
  ⅲ 一般的に商業使用人の最高位にある
  ⅳ 表見代表取締役の規定が適用される余地がある
  ⅴ 執行役員の選任は取締役会の決議事項にあたると考えられる
7 商業使用人の対外的役割と責任
 ① 商業使用人とは
  ⅰ 商人の補助者として特定の商人に従属してこれを補助する
  ⅱ 商法による商業使用人の区分
   ア)支配人
   イ)番頭・手代
   ウ)物品販売使用人
 ② 支配人
  ⅰ 権限
   ア)営業主に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為を
     なす権限を有するもの
   イ)支配人かどうかは名称ではなく事実上権限を有しているかで決まる
  ⅱ 表見支配人
   ア)善意の第三者を保護するため規定される
  ⅲ 義務
   ア)競業避止義務
   イ)精力分散防止義務
    ・営業主の許諾のない営業の禁止
    ・他の会社の無限責任社員または取締役の就任禁止
    ・他企業の使用人就任禁止
    ウ)介入権
    ・営業主は支配人の競業取引につき介入件を行使できる
 ③ 番頭・手代
  ⅰ 支配人の他に特定の事項について包括的な委任を受けた者のこと
  ⅱ 委任を受けた事項について一切の裁判外の行為を行う権限を有する
  ⅲ 社内的に制限を設けていても善意の第三者には対抗できない
8 代理
 ① 代理の効果:代理人の行った法律行為の効果は直接本人に帰属する
 ② 代理の成立要件
  ⅰ 代理権の存在
  ⅱ 顕名
  ⅲ 代理行為が存在すること
 ③ 無権代理
  ⅰ 無権代理の効果
   ア)代理権がないものが行った行為の効果は本人に帰属しない
   イ)本人がその行為を追認すれば行為のときに遡って本人に効果帰属する
   ウ)本人が追認拒絶すれば本人に効果帰属しないことが確定する
  ⅱ 本人が追認も拒絶もしないときの相手方の対応手段
   ア)相当の期間を定めて追認するか拒絶するかを催告できる
    ・期間内に本人から確答がなければ拒絶したものとみなす
   イ)自ら無権代理行為を取り消す
   ウ)無権代理人の責任を追及する
    ・自ら取消権を行使していないこと
    ・代理権のない事につき善意・無過失なこと
    ・無権代理人が行為能力を有すること
 ④ 表見代理
  ⅰ 表見代理の成立する場合
   ア)代理権授与表示
   イ)代理権踰越
   ウ)代理権消滅後
   エ)重畳適用:組合せて適用すること
  ⅱ 外観法理
 ⑤ 自己契約・双務契約の禁止
  ⅰ 自己契約:当事者の一方が相手方の代理人となること
  ⅱ 双務契約:同一人物が同一法律行為の当事者双方の代理人となること
  ⅲ 有効になる場合
   ア)本人が許諾するとき
   イ)単なる債務の履行のとき
  ⅳ 自己契約・双務契約は無権代理行為になる


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