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第1節 ビジネスに関する法律関係 [会社取引の法務]

第3章 会社取引の法務
第1節 ビジネスに関する法律関係
Ⅰ 売買取引
1 売買取引の類型
 ① 売買取引は典型的な商行為(基本的商行為)
  ⅰ 営利目的の不動産・動産の売買(投機売買)
  ⅱ 賃貸目的での動産・不動産の有償取得など
 ② 商法・民法の売買における規定はきわめて簡略
  ⅰ 個々の取引の利害状況に応じて契約の中で解決するため
2 企業間での製品や原材料の売買取引(契約前段階)
 ① 取引の特徴
  ⅰ 我が国では固定的取引先との長期的継続的取引によることが多い
  ⅱ 長期的継続的取引のメリット
   ア)安定的製品供給
   イ)商品の使用を細かく指定できるなど
 ② 契約の成立
  ⅰ 契約準備段階の信義則
   ア)契約は申込と承諾の意思表示により成立する
   イ)企業間取引の場合の特徴
    ・契約交渉など契約締結前でも当事者に信頼関係が生じることがある
    ・契約前段階でも信義則上注意義務違反のより損賠責任を負う
  ⅱ 一時的取引と継続的取引
   ア)一時的取引では取引の都度申込と承諾の意思表示がなければ成立しない
   イ)一時的取引では申込に対して承諾しなければ申込は効力を失う
   ウ)継続的取引では基本契約を締結してその後の取引を簡便に行う
   エ)継続的取引では遅滞なく諾否の通知をしなければ承諾したものとみなす
    ↑諾否通知義務
    ・対話者間では諾否通知義務の適用はなく一時取引と同じ
  ⅲ 申込を受けた商人の受領物品保管義務
   ア)民法上:申込拒絶しても物品を返還したり保管したりする義務はない
   イ)商人が申込とともに物品を受け取ったとき
    ・その申込を拒絶してもその物品を保管しなければならない
    ・物品が小額なとき又は保管により損害を被るときは保管義務を免れる
3 企業間での売買取引における契約書の内容
 ① 売買の目的物の内容を明確にする
  ⅰ 目的物の内容
   ア)商品の品名
   イ)数量
   ウ)品質など
  ⅱ 品質について
   ア)民法:契約書に特定していなければ中等品を給付する
   イ)品質定め方:見本売買、仕様書売買、規格品売買、銘柄売買などがある
  ⅲ 目的物の数量について 
   ア)個数で定めることが望ましい
   イ)個数で定めることが出来ない場合は重量や容積で指定する
   ウ)指定数値の過不足についての許容範囲を定めておく(アローアンス条項)
 ② 引渡条項
  ⅰ 引渡し場所
   ア)引渡場所を契約で定める意義は持参債務か取立債務かを確定すること
   イ)引渡場所が定められていない場合
    ・特定物債務のときは契約時点で目的物が存在した場所
    ・不特定物債務のときは履行時における債権者の営業所
  ⅱ 引渡時期
   ア)引渡時期を定める意義は下記の基準として重要な意味になる
    ・所有権の移転
    ・当事者間での危険負担
    ・瑕疵担保責任
    ・品質保証
    ・責任期間
   イ)企業会計上も収益発生の基準日となる
   ウ)引渡時期が決められていないとき
    ・買主が履行の請求をしたとき(民法412)
  ⅲ 引渡方法
   ア)持ち込み渡し
   イ)据付渡し
   ウ)試運転検収渡しなど
  ⅳ 買主の検査義務・瑕疵通知義務
   ア)検査義務と瑕疵があった場合の通知義務を明確に定めておく
  ⅴ 目的物に瑕疵や数量が不足していた場合
   ア)不特定物売買に場合
    ・買主は売主に対して完全履行請求ができる
   イ)特定物売買の場合買主は売主に対し担保責任を追及できる
    ・瑕疵を知ってから1年間契約解除又は損賠責任の追求
    ・数量不足を知ってから1年間代金減額請求または損賠請求ができる
     ↑一定の場合には契約の解除も出来る
   ウ)商法は買主に検査義務・通知義務を課している
    ・買主が義務を怠れば売主に対して救済を求めることができなくなる
    ・検査義務・通知義務の内容は規定されていない
     ↑契約書に義務内容を定めることが必要
  ⅵ 買主の目的物保管・供託義務
   ア)検査の結果売買目的物に瑕疵があった場合の民法による解決
    ・契約解除の場合は買主が原状回復して売主に返還しなければならない
   イ)買主と売主が同一市町村内でない場合の目的物に瑕疵ある場合(商法)
    ・売主の費用で買主は物品を保管・供託する
    ・目的物に毀損・滅失の恐れがあるときは競売できる
     ↑裁判所の許可が必要で競売代金は保管・供託する
   ウ)目的物保管・供託義務の法制度
    ・商法上保管期間の定めがない
    ・目的物を競売する場合は裁判所の許可が要る
    ・買主にとって負担が大きい
   エ)実務上は買主の負担が大きいため契約で明確に定めておく
  ⅶ 所有権移転時期
   ア)民法上の特定物売買の時は契約時に移転
   イ)民法上の不特定物売買の時は特定時に移転
   ウ)民法上の規定では割賦販売・代金後払いの場合では売主に不利
   エ)特約で所有権移転時期を代金完済時まで遅らせる必要あり
  ⅷ 危険負担
   ア)商人間では特約により商品引渡の時に買主に危険も移転するよう変更
   イ)危険負担の内容は契約で明確に定めておくことが重要
  ⅸ 不可抗力免責条項
   ア)民法上は不可抗力による債務不履行は損賠請求も契約解除もできない
   イ)民法上なにが不可抗力なのかの定めがない
   ウ)不可抗力の内容を契約書で明確にしておくことが必要
  ⅹ 損害賠償
   ア)賠償額が意外なところまで拡大する恐れがある
   イ)軽過失の免責・賠償額の上限などを設ける必要がある
 ③ 売買代金額・支払条件
  ⅰ 売買代金額・支払条件・支払場所
   ア)売買代金:金額のみならず内訳も契約書で明確にする必要有り
    ・外貨取引では円価の換算レートも明確にする
   イ)支払条件
    ・どのような後払いにするかを契約で明確にする
   ウ)支払方法
    ・種類は現金、小切手、手形など
    ・手形は不渡りの危険があるので支払方法として認めるのか明確にする
   エ)支払場所
    ・売買の目的物の引渡と同時に支払うべき時は目的物の引渡場所
    ・上記以外は売主の営業所または住所
    ・特約で定めることも可能
  ⅱ 期限の利益喪失
   ア)代金支払に関しては利益喪失条項があることが多い
    ↑買主に信用不安が起こったときは直ちに代金支払の履行期を到来させる
   イ)期限の利益喪失事由
    ・手形・小切手の不渡り
    ・銀行取引停止処分
    ・差押・仮差押・破産
    ・民事再生・会社更生など
  ⅲ 交互計算
   ア)交互計算とは:債権債務の総額につき相殺をして支払う方法
    ・諾成契約かつ不要式の契約である(商法529~)
   イ)交互計算不可分の原則
    ・交互計算期間の債権債務を期間終了時に一括相殺される
    ・個別的な行使は停止される
   ウ)交互計算の積極的効力
    ・総裁が行われて残額が確定したら新たな債権債務が生じることになる
4 債務不履行
 ① 買主の債務不履行
  ⅰ 代金不払い
   ア)不可抗力をもってしても抗弁できない履行遅滞
    ・売主は損害の証明なく損賠請求できる
   イ)損賠が支払われない時は担保権実行、訴訟提起などの手続
   ウ)強制執行認諾文言付公正証書(執行証書)あれば直ちに強制執行できる
   エ)代金不払いは買主の信用状態の悪化を示している
    ・担保権実行、強制執行しても効果がないことが多い
    ・取引前、取引中の信用調査で危険な兆候を見逃さないことが大切
  ⅱ 買主の受領拒絶
   ア)買主が受領拒絶したら売主は引渡債務を逃れることが出来ない
   イ)買主の受領拒絶による増加した費用は買主が負担する(民法)
   ウ)売買目的物を供託して引き渡し債務を逃れることが出来る
  ⅲ 売主の自助売却権
   ア)民法は下記の条件で売主に自助売却権を認める
    ↑目的物を競売にかけること
    ・目的物が供託に適さない
    ・滅失・毀損の恐れがある
    ・その保全に過分の費用を要する
    ・裁判所の許可がある
   イ)商人間の売買取引の場合(商法)
    ・売主は相当の期間を定めて催告した上で競売できる
    ・腐敗・損壊しやすいものであれば催告なく競売してよい
    ・競売後遅滞なく買主に通知しなくてはならない
    ・競売代価を原則として供託しなくてはならない
    ・代金債権の弁済期が既到来の場合は競売代金を売買代金に充当できる
 ② 売主の債務不履行
  ⅰ 売買目的物の引渡の不履行
   ア)売主の履行遅滞の場合
    ・買主は損賠請求できる
    ・相当な期間を定めて催告しかつその期間に履行がなければ解除できる
   イ)確定期売買は催告をしないで契約を解除できる
    ↑一定の期日に契約が履行されないと目的が達せされないもの
    ・商法では相手方の履行の請求なければ当然に解除したものとみなす
  ⅱ 売主の不完全な引渡:不完全履行にあたる
   ア)契約において売買目的物の品質・数量などは明確にしておくべき
5 代理店・特約店契約~流通を経て消費者に達する売買契約①
 ① 取引の特徴
  ⅰ 代理店・特約店とは
    ↑商品の取引に関してメーカーと消費者の間に位置して継続的な
     販売関係を形成している者のこと
  ⅱ 代理店・特約店と商品供給業者の関係
   ア)代理店は売買関係の直接当事者となる
    ・メーカーと消費者の間で商品売買取引を行う
    ・売買取引による経済効果・権利義務は代理店に存在する
   イ)従属性
    ・代理店の商品供給業者に対する依存度は様々
    ・商品供給業者にとって専属代理店化は重要なテーマ
     ↑専属代理店の方が販売チャネルは強力
    ・フランチャイズ形態も代理店の一種
 ② 売買型の代理店・特約店
  ⅰ 基本契約~一般的な条項
   ア)取引開始の合意
   イ)個別取引の予約とその態様
   ウ)取引数量・価格・荷渡方法・支払条件
   エ)期限利益喪失条項
   オ)商品の所有権移転時期・危険負担・瑕疵担保条項
   カ)不可抗力条項
   キ)代理店の商品拡販義務
   ク)競業業者の商品の取扱いについて
   ケ)テリトリー条項
   コ)再販価格条項
   サ)商品供給会社の商標の代理店に対する使用許諾条項
   シ)商品供給会社の代理店にたいする諸援助条項
   ス)代理店の商品供給会社にたいする営業状況等の報告義務
   セ)相互の秘密保持義務
   ソ)契約期間及び更新条項
   タ)契約解除に関する条項
  ⅱ 約款としての性質
   ア)基本契約書は商品供給業者が作成した約款としての性格がある
    ↑約款とは当事者の一方が予め契約内容を決めておいたもの
   イ)当該約款は代理店にとっては不利になりやすい
   ウ)当事者間の力関係が対等でないとき
    ・契約自由の原則を修正して一部の効力が否定されることがある
  ⅲ 売買取引における代理の利用
   ア)代理商としての活動
    ・基本契約書に基づき代理店が代理商として活動する場合もある
   イ)代理商としての義務
    ・原則は代理人としての責任のほかは負わない
    ・当該取引の法的・経済的責任は商品供給業者が負う
   ウ)特約で商品供給業者が被った損害を代理店に追わせることがある
    ・個別の事情に応じて検討される事になる
  ⅳ 商品の売れ残りリスクと返品
   ア)原則は売買取引なので買主側が負担する
   イ)返品条件付契約
    ・商品供給業者が小売価格で買戻しをする
   ウ)委託販売の利用
    ・所有権は商品供給業者にある
    ・原則として売れ残りリスクは商品供給業者が負担する
   エ)売上仕入(消化仕入)契約の利用
    ↑小売店が消費者に販売した時点で供給業者との売買契約も成立する
    ・商品管理は商品供給業者が管理する
    ・売買取引と委託販売の中間的取引
    ・原則として商品売れ残りリスクは供給業者が負担する
6 委託販売契約~流通を経て消費者に達する売買取引②
 ① 取引の特徴
  ⅰ 委託販売契約とは
   ア)受託者は委託者の計算において委託者より供給された商品を販売する
   イ)委託者は受託者に報酬を支払う契約をする
   ウ)他人の事務を処理することを目的とするので民法の委任にあたる
   エ)商法上の問屋にあたる
    ↑自己の名で委託者の計算による販売は取次に当たる
   オ)受託者は消費者に対して売買契約の売主になる/権利義務が帰属
   カ)経済的損益は全て委託者に帰属する
   キ)受託者は商品販売の費用を前払で請求できる/損賠請求権有り
  ⅱ 委託販売契約による販売と売買取引による販売
   ア)供給業者と販売業者の関係は法的・概念的には売買か委託かは明白
   イ)現実に流通過程において委託か販売かを明確にすることは困難
    ・特別法により一定業種の特定業務は委託販売によることが規定されている
   ウ)特別法により委託販売であることが規定されている例
    ・中央棚卸市場の棚卸業
    ・証券会社における証券の取次
  ⅲ 流通過程における委託か販売かの判断基準
   ア)目的物の所有権が販売業者に移転しているか
   イ)販売業者から供給業者に給付される金銭の金額
   ウ)売れ残りリスクの負担関係
   エ)販売業者の利益が手数料かどうか
   オ)供給業者からの販売に関する指示
 ② 販売委託と指値
  ⅰ 指値は委託者による販売受託者の販売価格の最低限の指定
   ア)それ未満での販売を禁止する医薬者の意思表示
  ⅱ 受託者が指値未満で販売した場合
   ア)受託者が指値との差額を負担する時委託者の計算で行ったことになる
   イ)委託者に差額以上の損害があるときは損賠責任がある
    ・差額負担は受託者の権利であり委託者に対する請求権ではない
   ウ)受託者が差額負担をしない時
    ・受託者の債務不履行
    ・委託者は自己の計算であることを拒絶できる
  ⅲ 再販売価格維持制度
   ア)独占禁止法で禁止されている
   イ)商品の価格決定は商品の所有者が状況に応じて決めるべき
  ⅳ 販売委託における指値と再販売価格維持行為
   ア)原則:販売委託の指値行為は独占禁止法にあたらない
    ・委託者は決定した価格についてのリスクを自ら負っている
   イ)実際:取引の実質によって判断される
    ・形式上販売委託であっても実質が売買取引なら独禁法違反
 ③ 委託者と受託者と消費者の三面関係
  ⅰ 原則:委託者と消費者の間には直接の契約関係はない
  ⅱ 個々の法律関係については委託者と消費者の関係が問題になる
   ア)受託者と消費者の取引に詐欺が存在することを委託者が知っているなど
7 消費者契約~直接消費者を相手方とする商品の売買取引
 ① 取引と特徴
  ⅰ 企業が直接消費者に製品・サービスを提供する(消費者契約)
  ⅱ 民法および商法が適用される
  ⅲ 対等の立場を前提とする民法では消費者の利益は確保できない
   ア)民法は自由平等の原則に立脚
   イ)消費者は企業に対して概ね弱い立場におかれる
  ⅳ 消費者契約における消費者保護
   ア)信義則や公序良俗などの一般規定が適用される
   イ)消費者契約法をはじめとする様々な特別法がある
 ② 契約の成立
  ⅰ クリーングオフ
   ア)割賦販売および訪問販売のときに適用される
   イ)一定の場合に消費者が契約申込の撤回、契約の解除を行うことが出来る
  ⅱ 約款
   ア)約款とは多数の契約に用いるために予め定型的に作成された契約条件
    ・消費者契約においては約款が用いられることが多い
   イ)消費者契約も私法上の契約
    ・当事者の意思で契約が成立
   ウ)消費者保護
    ・企業の作成した約款は企業に有利に出来ている
    ・企業にとって大量取引のばあいは約款があると便利
  ⅲ 約款内容の適正確保
   ア)監督官庁の許認可
    ・保険、電気、熱供給業、運送、ホテルなどの一定の業種
   イ)業界団体が雛形
  ⅳ 商品の内容の開示と約款内容を知らずにした契約の効力
   ア)消費者への情報開示
    ・消費者は商品、サービスについて正確かつ十分な情報を得る必要がある
    ・情報の多くは約款に記されている
    ・約款の重要事項については事前に説明される必要がある
   イ)契約の成立条件
    ・約款の全てを知らなくても契約は有効
    ・重要事項の説明は十分にしておくべき


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