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第1節 寄託契約 [会社取引の法務]

Ⅴ 寄託契約
1 寄託契約
  ↑物の保管をする契約のこと
 ① 寄託契約の種類
  ⅰ 預金契約
  ⅱ 金銭消費寄託契約
  ⅲ 倉庫寄託契約など
2 金銭消費寄託契約(預金契約)
 ① 消費寄託契約
   ↑寄託者から受け取った寄託物を受寄者が消費して同種同僚を寄託者に返還
  ⅰ 消費賃貸借の規定を準用する
  ⅱ 目的物の授受によって成立する要物契約
 ② 預金契約の成立
  ⅰ 当事者間の合意と実際の預金が必要
  ⅱ 民法のほか預金約款が重要
   ア)預金約款は全国銀行協会が制定したものが多く採用されている
 ③ 受寄者・寄託者の権利義務
  ⅰ 受寄者は寄託者から受け取った物と同じものを返還する義務がある
  ⅱ 返還時期
   ア)定めがなければ寄託者が請求した時
   イ)契約に定めがあればその時期
3 倉庫寄託契約
 ① 倉庫営業:他人のために物品を倉庫に保管することを業とするもの
  ⅰ 所有権は移動しない
  ⅱ 国土交通大臣の許可が必要
 ② 倉庫営業の規定・約款
  ⅰ 商法の規定
  ⅱ 民法の寄託に関する規定
  ⅲ 国土交通省の作成した倉庫寄託約款・冷蔵倉庫寄託約款がある
 ③ 倉庫寄託契約の成立
  ⅰ 民法上の寄託契約なので要物契約
  ⅱ 寄託物の引渡し前の予約はできる
 ④ 倉庫営業者の権利
  ⅰ 保管料、立替金、その他費用の請求権
   ア)受寄物出庫の時と規定
   イ)特約で別の定めをすることも可能
    ・毎月支払う、入庫時に支払うなど
  ⅱ 留置権・動産保存の先取特権
  ⅲ 供託権・競売権
   ア)保管期間満了でも更新・引取りがない場合
 ⑤ 倉庫営業者の義務
  ⅰ 善管注意義務
  ⅱ 寄託者の許可なく下請契約は出来ない
  ⅲ 寄託者の請求でいつでも出庫させなくてはならない
   ア)倉庫証券を発行している時はその所持者に引渡す
  ⅳ 滅失・毀損の損賠責任
   ア)受寄物の保管に関して注意を怠らなかったことを証明できれば免責
   イ)約款で寄託者に証明責任を転嫁させている
    ・受寄物には損害保険を付す必要がある
  ⅴ 火災保険
   ア)倉庫証券が発行されたときは倉庫業法により求められる
   イ)寄託者が反対の意思を示さないこと
   ウ)契約者は倉庫営業者、被保険者は寄託者


第1節 委任を基礎とする契約 [会社取引の法務]

Ⅳ 委任を基礎とする契約
1 委任を基礎とする契約の種類
 ① 商法での4類型
  ⅰ 代理商契約
  ⅱ 仲立契約
  ⅲ 問屋契約
  ⅳ 運送契約
 ② 実際の形態
  ⅰ 代理商、仲立、問屋は法的概念が別でも実際は1つの商人が兼ねている
  ⅱ 実態に即して各種の業態に応じた法規制がなされる
2 宅地建物取引業者・旅行業等の契約
 ① 契約の特徴
  ⅰ 商法上の仲立人に相当する
  ⅱ 仲立人:商品の売買など他人の間に立って商行為の媒介を業とするもの
   ア)媒介とは両者を当事者とする法律行為の成立に尽力するもの
  ⅲ 商法の仲立営業に関する規定がある
  ⅳ 特別法がある
   ア)宅地建物取引業法
   イ)旅行業法
 ② 契約の成立
  ⅰ 仲立契約の成立
   ア)委託者から商行為の媒介をひきうけることで成立する
  ⅱ 宅地建物業者の媒介における義務
   ア)依頼者に対して遅滞なく法定事項を記載した書面を交付する義務
  ⅲ 旅行業者の媒介における義務
   ア)国土交通省の定めにより取引条件について旅行者に説明する義務がある
 ③ 仲立人の権利
  ⅰ 報酬の支払を受ける権利がある
   ア)報酬の請求前に契約書の交付手続を終えておかなければならない
   イ)報酬料には媒介に関する費用も含まれているのが原則
    ・特約可能
  ⅱ 宅地建物業者の報酬
   ア)国土交通大臣の告示する額が上限
   イ)上記を超える額は無効
  ⅲ 仲立人には当事者の為に給付を受領または支払う権限はない
   ア)当事者の一方が仲立人に給付しても債務を履行したことにはならない
 ④ 仲立人の義務
  ⅰ 善管注意義務
   ア)仲立契約は準委任契約であるから善管注意義務がある
   イ)委託者が契約の目的を達することが出来るように注意を尽くす義務がある
  ⅱ 宅地建物業者の特別な義務
   ア)取引関係者に信義を旨として誠実に業務を行わなくてはならない
   イ)書面にて取引主任者が説明する義務
    ・成約前に一定事項を記載した書面を依頼者に交付する
   ウ)守秘義務
  ⅲ 旅行業者の特別な義務
   ア)契約締結後遅滞なくサービスの提供を受ける権利を記載した書面を交付
   イ)上記書面がない場合は国土交通省令で定める書式を交付
  ⅳ 仲立人一般の義務
   ア)善管注意義務
   イ)当事者間の契約締結後遅滞なく一定事項を記した結約書を当事者に交付
   ウ)結約書に掲げた事項を帳簿に保存
   エ)結約書、帳簿に記載してはいけないこと
    ・氏名・商号を相手方に示さないよう求められた場合
     ↑ この場合氏名匿秘の費用を請求できる
   オ)相手方の為に自ら履行する責任
    ・氏名・商号を相手方に示さないよう求められた場合
     ↑ この場合氏名匿秘の費用を請求できる
3 損害保険代理店と代理商
 ① 損害保険代理店とは
  ⅰ 損害保険会社のために損害保険契約の締結の代理・媒介をなすもの
  ⅱ 商法上の代理商に当たる
 ② 代理商契約
  ⅰ 一定の商人からその営業の部類に属する取引の代理・媒介の委託契約
  ⅱ 締約代理商:代理商のうち代理をなすもの
  ⅲ 媒介代理商:代理商のうち媒介をなすもの
  ⅳ 代理商契約の成立
   ア)代理商と本人の間に代理商契約が結ばれる
   イ)損害保険代理店の場合は損害保険代理店委託契約が結ばれる
 ③ 代理商の権利
  ⅰ 報酬請求権:本人為になした行為についての報酬請求権
  ⅱ 留置権
   ア)取引によって生じた債権を留置できる
   イ)弁済期が到来していなければ留置できない
   ウ)被担保債権は代理商のなした全ての代理・媒介行為による債権が対象
    ・民法上の留置権と異なり牽連性はいらない
 ④ 代理商の義務
   ア)善管注意義務
    ・代理商と本人との関係は委任または準委任
   イ)本人に対する通知義務
    ・代理商が取引をなしたとき
    ・取引後遅滞なく通知する
   ウ)本人の営業の部類に属する取引をなしてはならない
   エ)同種の営業を目的とする会社の無限責任社員・取締役にはなれない
    ・本人の犠牲の下に自己又は第三者の利益を図らせないため
    ・これに違反した場合は本人による介入権が認められる
   オ)損害賠償責任
    ・代理商の行為により本人が損害を受けたとき


第1節 請負を基礎とする契約 [会社取引の法務]

Ⅲ 請負を基礎とする契約
1 建築請負契約
 ① 建築請負契約における発注者・請負人の義務
  ⅰ 請負人が仕事を完成することを目的とする契約
  ⅱ 請負人は請け負った工事の内容を完成させる義務がある
  ⅲ 発注者は請負代金を支払う義務がある
 ② 建築請負契約と建設業法
  ⅰ 建築工事の請負契約に関する規定
   ア)建設業法には建設工事の請負契約に関する規定がある
   イ)建設工事の請負に関する紛争処理の規定
   ウ)施工技術の確保に関する規定などがある
  ⅱ 契約書の作成に関する規定
   ア)民法では諾成契約
   イ)当事者の権利義務を明確にするため業法では契約書の作成を勧めている
   ウ)契約書の作成は注意義務に留まる
   エ)各種団体が約款を作成している
 ③ 請負代金の額・支払方法
  ⅰ 支払方法:定額請負と概算請負がある
   ア)定額請負:契約の締結に際して請負代金の総額を表示するもの
   イ)概算請負:契約締結の際には概算にとどめるもの
  ⅱ 支払時期
   ア)民法:目的物の引渡しのとき
   イ)実務:個々の状況に応じて具体的に特約する
  ⅲ 計画変更
   ア)完成時期の変更、設計変更など
   イ)各種の変更について契約書で処置について定めておくのが通例
 ④ 工事請負の瑕疵担保
  ⅰ 民法による請負人の瑕疵担保
   ア)無過失責任である
   イ)明認できる瑕疵か隠れたる瑕疵かを問わない
  ⅱ 瑕疵が何か
   ア)契約書や仕様書などで当事者が取り決めた資料から確定する
  ⅲ 瑕疵担保責任を負わない旨の特約
   ア)有効である
   イ)請負人が瑕疵の存在を故意に注文者に告げなかった場合は無効
  ⅳ 注文者の瑕疵修補請求
   ア)注文者は目的物に瑕疵があるときは相当の期間を定めて補修請求ができる
    ・瑕疵が重要でない時は請求できない
   イ)瑕疵修補請求に変えて損賠請求できる
   ウ)瑕疵修補請求とともに損賠請求できる
   エ)瑕疵が重要でない時は損賠請求のみ出来る
  ⅴ 解除
   ア)瑕疵が重要で契約の目的を果たせないなら解除できる
   イ)建物・土地工作物のばあいは完成後の解除はできない
    ・公益上の理由から
 ⑤ 担保期間
  ⅰ 土地工作物・地盤の瑕疵について5年
  ⅱ 工作物が石造・煉瓦造・金属造であるときは10年
  ⅲ 特約により短縮することが可能
  ⅳ 新築住宅について
   ア)完成引渡から10年間担保責任がある
   イ)短縮はできない
 ⑥ 請負契約の債務不履行
  ⅰ 請負人の義務
   ア)目的物を完成させる義務
   イ)目的物を引渡す義務
  ⅱ 工事完成前に損害が発生した場合の問題点
   ア)工事を完成させるための費用の負担は誰か
   イ)請負代金の支払は行うのか
  ⅲ 仕事が完成できる場合の債務不履行
   ア)請負人には仕事完成義務がある
   イ)請負人に帰責事由がある場合
    ・請負人に債務不履行責任がある
   ウ)注文者に帰責事由がある場合
    ・注文者に損害賠償責任
   エ)どちらの責任でもない場合
    ・請負人は請負代金の増額請求ができない
  ⅳ 仕事が完成できない場合
   ア)請負人の仕事完成義務は消滅する
   イ)請負人に帰責事由がある場合
    ・請負人の報酬請求権消滅
    ・請負人に債務不履行責任
   ウ)注文者に帰責事由がある場合
    ・請負人の報酬請求権は存続する
   エ)どちらの責任でもない場合
    ・請負人の報酬請求権消滅
 ⑦ 一括下請負の禁止
  ⅰ 下請負:仕事を請け負った建設業者と他の建設業者の請負契約のこと
  ⅱ 一括した請負:請け負った仕事の全部を下請負する
  ⅲ 一括した請負の原則禁止
  ⅳ 一括下請負できる場合
   ア)元請負人が施工管理に具体的、総合的に関っている場合
    ・技術指導、労務管理などで関与
2 製作物供給契約
 ① 製作物供給契約とは
   ↑注文に応じた物品を自己の材料で製作して供給しその報酬を得る契約
  ⅰ 法的側面
   ア)物品製作という請負契約の側面
   イ)供給という売買契約の側面
  ⅱ 具体的業者
   ア)建物の建築業者
   イ)オーダーメイドの製品(洋服など)
   ウ)機械の注文制作
 ② 法的問題
  ⅰ 請負契約と売買契約の違い
   ア)危険負担・瑕疵担保責任の内容が異なる
  ⅱ 請負契約となる場合
   ア)注文者の特別な指示・注文によって製作される場合
  ⅲ 売買契約となる場合
   ア)目的物が代替可能な場合
   イ)同種のものが存在する場合
3 運送契約
 ① 運送業とは:物品、旅客の運送を業として引受ける行為
 ② 運送人とは:運送営業をなす商人
 ③ 適用される法律
  ⅰ 商法
  ⅱ 個別の鉄道法、道路運送法、貨物運送取扱事業法など
 ④ 運送約款
  ⅰ 国土交通大臣による個別の認可
  ⅱ 業界団体で作成されるもの


第1節 リース契約 [会社取引の法務]

Ⅱ リース契約
1 ファイナンス・リース契約の仕組み
 ① 2つの契約
  ⅰ リース会社とユーザーのリース契約
  ⅱ リース会社とサプライヤーの売買契約
 ② ファイナンス・リース契約の仕組み
  ⅰ 形式的
   ア)リース会社が物件を買ってユーザーに貸している
   イ)ユーザーは賃貸料を支払っている
  ⅱ 実質的
   ア)ユーザーが物件を購入する
   イ)購入資金をリース会社が貸し付けている
 ③ 法律論
  ⅰ 実質に即して判断する
   ア)リース契約は賃貸借と金銭消費貸借の結合
   イ)問題となる局面ごとにどちらの性格が強いかで判断する
 ④ 三面当事者間の権利義務
  ⅰ 物件の所有権:リース会社
  ⅱ 物件の選定:ユーザーとサプライヤーが行う
   ア)物件の瑕疵についてリース会社は責任を負わない
   イ)修繕はユーザーの費用で行う
  ⅲ 物件の引渡
   ア)サプライヤーからユーザーに直接行われる
2 ファイナンス・リースの効用
 ① ユーザーにとって
  ⅰ 実質的金融効果
  ⅱ 財務面のメリット
   ア)リース料は経費となり損金扱い
   イ)減価償却を短期で行っているのと同じ効果
    ・通常法定耐用年数よりも短期でリース期間が組まれる
   ウ)陳腐化リスクの回避
    ・リース期間満了後直ちに新しい設備を導入できる
    ・ホテルなどのように定期的に模様替えを行う場合に便利
 ② サプライヤーにとって
  ⅰ 販売促進
  ⅱ 販売代金の早期回収
3 ファイナンス・リース契約締結までの取引の流れ
 ① ファイナンス・リース契約の申込
  ⅰ ユーザーが物件を選定することから始める
  ⅱ ユーザーは物件の選定が終わったらリース会社にリース契約の申込を行う
  ⅲ 通常はサプライヤーがリース会社に申込を代行する
 ② 申込を受けたリース会社の対応
  ⅰ 与信審査
   ア)ファイナンス・リースはユーザーに対して長期の信用を供与するもの
 ③ リース会社の承諾とリース契約の締結
  ⅰ ユーザーの申込とリース会社の承諾により成立(諾成契約)
  ⅱ 契約書はリース事業協会が作成した標準契約所が使われることが多い
  ⅲ リース料の支払は物件が引渡されリース会社に借受証を交付してから
4 売買契約の締結と物件の引渡し
 ① 売買契約の締結時期
  ⅰ リース会社とサプライヤーは売買契約を締結する
  ⅱ 売買契約はユーザーとリース契約を締結してから
   ・リース契約が不成立になると物件が在庫になる恐れがあるから
 ② 売買契約の形式
  ⅰ 注文書と注文請書の交付
   ア)リース会社は注文書を交付する(申込)
   イ)サプライヤーは注文請書を交付する(承諾)
 ③ 物件の引渡しと代金の支払
  ⅰ 物件の引渡し
   ア)物件はユーザーとサプライヤーの間で行われる
   イ)瑕疵の有無はユーザーの責任で行う
   ウ)ユーザーは引渡しを受けるとリース会社所定の借受証を受け取る
   エ)借受証をリース会社に交付する
  ⅱ 物件の引渡が債務不能となった場合
   ア)一般的な契約書ではリース会社は一切の責任を負わないのが普通
 ④ ユーザーの保守・修繕義務
  ⅰ ファイナンス・リース取引ではユーザーが保守・修繕を行う
  ⅱ 実務において
   ア)ユーザーはサプライヤーと保守・点検契約を締結する
 ⑤ リース契約における問題点
  ⅰ ユーザーとサプライヤーの問題
   ア)原則として直接の契約関係がない
   イ)サプライヤーの債務不履行について契約書で定める必要がある
    ・サプライヤーの債務不履行についてユーザーが責任追及できるなど
  ⅱ ユーザーとリース会社の問題
   ア)支払リース料の不払いが問題となる
   イ)何ヶ月分かのリース料を担保にして不払いに供える
   ウ)ユーザーの経営悪化の際には通知義務を課したりしている
5 リース契約終了後の処理
 ⅰ 終了後の処理の方法
  ア)ユーザーが再びその物件を借り直す(再リース)
  イ)物件をリース会社に返還する
  ウ)ユーザーが物件を買い取る
 ⅱ 再リースの場合
  ア)リース料は従前の1/10~1/12程度
  イ)上記を下回ると税務上リース物件が売り渡されたものとみなされる


第1節 ビジネスに関する法律関係 [会社取引の法務]

第3章 会社取引の法務
第1節 ビジネスに関する法律関係
Ⅰ 売買取引
1 売買取引の類型
 ① 売買取引は典型的な商行為(基本的商行為)
  ⅰ 営利目的の不動産・動産の売買(投機売買)
  ⅱ 賃貸目的での動産・不動産の有償取得など
 ② 商法・民法の売買における規定はきわめて簡略
  ⅰ 個々の取引の利害状況に応じて契約の中で解決するため
2 企業間での製品や原材料の売買取引(契約前段階)
 ① 取引の特徴
  ⅰ 我が国では固定的取引先との長期的継続的取引によることが多い
  ⅱ 長期的継続的取引のメリット
   ア)安定的製品供給
   イ)商品の使用を細かく指定できるなど
 ② 契約の成立
  ⅰ 契約準備段階の信義則
   ア)契約は申込と承諾の意思表示により成立する
   イ)企業間取引の場合の特徴
    ・契約交渉など契約締結前でも当事者に信頼関係が生じることがある
    ・契約前段階でも信義則上注意義務違反のより損賠責任を負う
  ⅱ 一時的取引と継続的取引
   ア)一時的取引では取引の都度申込と承諾の意思表示がなければ成立しない
   イ)一時的取引では申込に対して承諾しなければ申込は効力を失う
   ウ)継続的取引では基本契約を締結してその後の取引を簡便に行う
   エ)継続的取引では遅滞なく諾否の通知をしなければ承諾したものとみなす
    ↑諾否通知義務
    ・対話者間では諾否通知義務の適用はなく一時取引と同じ
  ⅲ 申込を受けた商人の受領物品保管義務
   ア)民法上:申込拒絶しても物品を返還したり保管したりする義務はない
   イ)商人が申込とともに物品を受け取ったとき
    ・その申込を拒絶してもその物品を保管しなければならない
    ・物品が小額なとき又は保管により損害を被るときは保管義務を免れる
3 企業間での売買取引における契約書の内容
 ① 売買の目的物の内容を明確にする
  ⅰ 目的物の内容
   ア)商品の品名
   イ)数量
   ウ)品質など
  ⅱ 品質について
   ア)民法:契約書に特定していなければ中等品を給付する
   イ)品質定め方:見本売買、仕様書売買、規格品売買、銘柄売買などがある
  ⅲ 目的物の数量について 
   ア)個数で定めることが望ましい
   イ)個数で定めることが出来ない場合は重量や容積で指定する
   ウ)指定数値の過不足についての許容範囲を定めておく(アローアンス条項)
 ② 引渡条項
  ⅰ 引渡し場所
   ア)引渡場所を契約で定める意義は持参債務か取立債務かを確定すること
   イ)引渡場所が定められていない場合
    ・特定物債務のときは契約時点で目的物が存在した場所
    ・不特定物債務のときは履行時における債権者の営業所
  ⅱ 引渡時期
   ア)引渡時期を定める意義は下記の基準として重要な意味になる
    ・所有権の移転
    ・当事者間での危険負担
    ・瑕疵担保責任
    ・品質保証
    ・責任期間
   イ)企業会計上も収益発生の基準日となる
   ウ)引渡時期が決められていないとき
    ・買主が履行の請求をしたとき(民法412)
  ⅲ 引渡方法
   ア)持ち込み渡し
   イ)据付渡し
   ウ)試運転検収渡しなど
  ⅳ 買主の検査義務・瑕疵通知義務
   ア)検査義務と瑕疵があった場合の通知義務を明確に定めておく
  ⅴ 目的物に瑕疵や数量が不足していた場合
   ア)不特定物売買に場合
    ・買主は売主に対して完全履行請求ができる
   イ)特定物売買の場合買主は売主に対し担保責任を追及できる
    ・瑕疵を知ってから1年間契約解除又は損賠責任の追求
    ・数量不足を知ってから1年間代金減額請求または損賠請求ができる
     ↑一定の場合には契約の解除も出来る
   ウ)商法は買主に検査義務・通知義務を課している
    ・買主が義務を怠れば売主に対して救済を求めることができなくなる
    ・検査義務・通知義務の内容は規定されていない
     ↑契約書に義務内容を定めることが必要
  ⅵ 買主の目的物保管・供託義務
   ア)検査の結果売買目的物に瑕疵があった場合の民法による解決
    ・契約解除の場合は買主が原状回復して売主に返還しなければならない
   イ)買主と売主が同一市町村内でない場合の目的物に瑕疵ある場合(商法)
    ・売主の費用で買主は物品を保管・供託する
    ・目的物に毀損・滅失の恐れがあるときは競売できる
     ↑裁判所の許可が必要で競売代金は保管・供託する
   ウ)目的物保管・供託義務の法制度
    ・商法上保管期間の定めがない
    ・目的物を競売する場合は裁判所の許可が要る
    ・買主にとって負担が大きい
   エ)実務上は買主の負担が大きいため契約で明確に定めておく
  ⅶ 所有権移転時期
   ア)民法上の特定物売買の時は契約時に移転
   イ)民法上の不特定物売買の時は特定時に移転
   ウ)民法上の規定では割賦販売・代金後払いの場合では売主に不利
   エ)特約で所有権移転時期を代金完済時まで遅らせる必要あり
  ⅷ 危険負担
   ア)商人間では特約により商品引渡の時に買主に危険も移転するよう変更
   イ)危険負担の内容は契約で明確に定めておくことが重要
  ⅸ 不可抗力免責条項
   ア)民法上は不可抗力による債務不履行は損賠請求も契約解除もできない
   イ)民法上なにが不可抗力なのかの定めがない
   ウ)不可抗力の内容を契約書で明確にしておくことが必要
  ⅹ 損害賠償
   ア)賠償額が意外なところまで拡大する恐れがある
   イ)軽過失の免責・賠償額の上限などを設ける必要がある
 ③ 売買代金額・支払条件
  ⅰ 売買代金額・支払条件・支払場所
   ア)売買代金:金額のみならず内訳も契約書で明確にする必要有り
    ・外貨取引では円価の換算レートも明確にする
   イ)支払条件
    ・どのような後払いにするかを契約で明確にする
   ウ)支払方法
    ・種類は現金、小切手、手形など
    ・手形は不渡りの危険があるので支払方法として認めるのか明確にする
   エ)支払場所
    ・売買の目的物の引渡と同時に支払うべき時は目的物の引渡場所
    ・上記以外は売主の営業所または住所
    ・特約で定めることも可能
  ⅱ 期限の利益喪失
   ア)代金支払に関しては利益喪失条項があることが多い
    ↑買主に信用不安が起こったときは直ちに代金支払の履行期を到来させる
   イ)期限の利益喪失事由
    ・手形・小切手の不渡り
    ・銀行取引停止処分
    ・差押・仮差押・破産
    ・民事再生・会社更生など
  ⅲ 交互計算
   ア)交互計算とは:債権債務の総額につき相殺をして支払う方法
    ・諾成契約かつ不要式の契約である(商法529~)
   イ)交互計算不可分の原則
    ・交互計算期間の債権債務を期間終了時に一括相殺される
    ・個別的な行使は停止される
   ウ)交互計算の積極的効力
    ・総裁が行われて残額が確定したら新たな債権債務が生じることになる
4 債務不履行
 ① 買主の債務不履行
  ⅰ 代金不払い
   ア)不可抗力をもってしても抗弁できない履行遅滞
    ・売主は損害の証明なく損賠請求できる
   イ)損賠が支払われない時は担保権実行、訴訟提起などの手続
   ウ)強制執行認諾文言付公正証書(執行証書)あれば直ちに強制執行できる
   エ)代金不払いは買主の信用状態の悪化を示している
    ・担保権実行、強制執行しても効果がないことが多い
    ・取引前、取引中の信用調査で危険な兆候を見逃さないことが大切
  ⅱ 買主の受領拒絶
   ア)買主が受領拒絶したら売主は引渡債務を逃れることが出来ない
   イ)買主の受領拒絶による増加した費用は買主が負担する(民法)
   ウ)売買目的物を供託して引き渡し債務を逃れることが出来る
  ⅲ 売主の自助売却権
   ア)民法は下記の条件で売主に自助売却権を認める
    ↑目的物を競売にかけること
    ・目的物が供託に適さない
    ・滅失・毀損の恐れがある
    ・その保全に過分の費用を要する
    ・裁判所の許可がある
   イ)商人間の売買取引の場合(商法)
    ・売主は相当の期間を定めて催告した上で競売できる
    ・腐敗・損壊しやすいものであれば催告なく競売してよい
    ・競売後遅滞なく買主に通知しなくてはならない
    ・競売代価を原則として供託しなくてはならない
    ・代金債権の弁済期が既到来の場合は競売代金を売買代金に充当できる
 ② 売主の債務不履行
  ⅰ 売買目的物の引渡の不履行
   ア)売主の履行遅滞の場合
    ・買主は損賠請求できる
    ・相当な期間を定めて催告しかつその期間に履行がなければ解除できる
   イ)確定期売買は催告をしないで契約を解除できる
    ↑一定の期日に契約が履行されないと目的が達せされないもの
    ・商法では相手方の履行の請求なければ当然に解除したものとみなす
  ⅱ 売主の不完全な引渡:不完全履行にあたる
   ア)契約において売買目的物の品質・数量などは明確にしておくべき
5 代理店・特約店契約~流通を経て消費者に達する売買契約①
 ① 取引の特徴
  ⅰ 代理店・特約店とは
    ↑商品の取引に関してメーカーと消費者の間に位置して継続的な
     販売関係を形成している者のこと
  ⅱ 代理店・特約店と商品供給業者の関係
   ア)代理店は売買関係の直接当事者となる
    ・メーカーと消費者の間で商品売買取引を行う
    ・売買取引による経済効果・権利義務は代理店に存在する
   イ)従属性
    ・代理店の商品供給業者に対する依存度は様々
    ・商品供給業者にとって専属代理店化は重要なテーマ
     ↑専属代理店の方が販売チャネルは強力
    ・フランチャイズ形態も代理店の一種
 ② 売買型の代理店・特約店
  ⅰ 基本契約~一般的な条項
   ア)取引開始の合意
   イ)個別取引の予約とその態様
   ウ)取引数量・価格・荷渡方法・支払条件
   エ)期限利益喪失条項
   オ)商品の所有権移転時期・危険負担・瑕疵担保条項
   カ)不可抗力条項
   キ)代理店の商品拡販義務
   ク)競業業者の商品の取扱いについて
   ケ)テリトリー条項
   コ)再販価格条項
   サ)商品供給会社の商標の代理店に対する使用許諾条項
   シ)商品供給会社の代理店にたいする諸援助条項
   ス)代理店の商品供給会社にたいする営業状況等の報告義務
   セ)相互の秘密保持義務
   ソ)契約期間及び更新条項
   タ)契約解除に関する条項
  ⅱ 約款としての性質
   ア)基本契約書は商品供給業者が作成した約款としての性格がある
    ↑約款とは当事者の一方が予め契約内容を決めておいたもの
   イ)当該約款は代理店にとっては不利になりやすい
   ウ)当事者間の力関係が対等でないとき
    ・契約自由の原則を修正して一部の効力が否定されることがある
  ⅲ 売買取引における代理の利用
   ア)代理商としての活動
    ・基本契約書に基づき代理店が代理商として活動する場合もある
   イ)代理商としての義務
    ・原則は代理人としての責任のほかは負わない
    ・当該取引の法的・経済的責任は商品供給業者が負う
   ウ)特約で商品供給業者が被った損害を代理店に追わせることがある
    ・個別の事情に応じて検討される事になる
  ⅳ 商品の売れ残りリスクと返品
   ア)原則は売買取引なので買主側が負担する
   イ)返品条件付契約
    ・商品供給業者が小売価格で買戻しをする
   ウ)委託販売の利用
    ・所有権は商品供給業者にある
    ・原則として売れ残りリスクは商品供給業者が負担する
   エ)売上仕入(消化仕入)契約の利用
    ↑小売店が消費者に販売した時点で供給業者との売買契約も成立する
    ・商品管理は商品供給業者が管理する
    ・売買取引と委託販売の中間的取引
    ・原則として商品売れ残りリスクは供給業者が負担する
6 委託販売契約~流通を経て消費者に達する売買取引②
 ① 取引の特徴
  ⅰ 委託販売契約とは
   ア)受託者は委託者の計算において委託者より供給された商品を販売する
   イ)委託者は受託者に報酬を支払う契約をする
   ウ)他人の事務を処理することを目的とするので民法の委任にあたる
   エ)商法上の問屋にあたる
    ↑自己の名で委託者の計算による販売は取次に当たる
   オ)受託者は消費者に対して売買契約の売主になる/権利義務が帰属
   カ)経済的損益は全て委託者に帰属する
   キ)受託者は商品販売の費用を前払で請求できる/損賠請求権有り
  ⅱ 委託販売契約による販売と売買取引による販売
   ア)供給業者と販売業者の関係は法的・概念的には売買か委託かは明白
   イ)現実に流通過程において委託か販売かを明確にすることは困難
    ・特別法により一定業種の特定業務は委託販売によることが規定されている
   ウ)特別法により委託販売であることが規定されている例
    ・中央棚卸市場の棚卸業
    ・証券会社における証券の取次
  ⅲ 流通過程における委託か販売かの判断基準
   ア)目的物の所有権が販売業者に移転しているか
   イ)販売業者から供給業者に給付される金銭の金額
   ウ)売れ残りリスクの負担関係
   エ)販売業者の利益が手数料かどうか
   オ)供給業者からの販売に関する指示
 ② 販売委託と指値
  ⅰ 指値は委託者による販売受託者の販売価格の最低限の指定
   ア)それ未満での販売を禁止する医薬者の意思表示
  ⅱ 受託者が指値未満で販売した場合
   ア)受託者が指値との差額を負担する時委託者の計算で行ったことになる
   イ)委託者に差額以上の損害があるときは損賠責任がある
    ・差額負担は受託者の権利であり委託者に対する請求権ではない
   ウ)受託者が差額負担をしない時
    ・受託者の債務不履行
    ・委託者は自己の計算であることを拒絶できる
  ⅲ 再販売価格維持制度
   ア)独占禁止法で禁止されている
   イ)商品の価格決定は商品の所有者が状況に応じて決めるべき
  ⅳ 販売委託における指値と再販売価格維持行為
   ア)原則:販売委託の指値行為は独占禁止法にあたらない
    ・委託者は決定した価格についてのリスクを自ら負っている
   イ)実際:取引の実質によって判断される
    ・形式上販売委託であっても実質が売買取引なら独禁法違反
 ③ 委託者と受託者と消費者の三面関係
  ⅰ 原則:委託者と消費者の間には直接の契約関係はない
  ⅱ 個々の法律関係については委託者と消費者の関係が問題になる
   ア)受託者と消費者の取引に詐欺が存在することを委託者が知っているなど
7 消費者契約~直接消費者を相手方とする商品の売買取引
 ① 取引と特徴
  ⅰ 企業が直接消費者に製品・サービスを提供する(消費者契約)
  ⅱ 民法および商法が適用される
  ⅲ 対等の立場を前提とする民法では消費者の利益は確保できない
   ア)民法は自由平等の原則に立脚
   イ)消費者は企業に対して概ね弱い立場におかれる
  ⅳ 消費者契約における消費者保護
   ア)信義則や公序良俗などの一般規定が適用される
   イ)消費者契約法をはじめとする様々な特別法がある
 ② 契約の成立
  ⅰ クリーングオフ
   ア)割賦販売および訪問販売のときに適用される
   イ)一定の場合に消費者が契約申込の撤回、契約の解除を行うことが出来る
  ⅱ 約款
   ア)約款とは多数の契約に用いるために予め定型的に作成された契約条件
    ・消費者契約においては約款が用いられることが多い
   イ)消費者契約も私法上の契約
    ・当事者の意思で契約が成立
   ウ)消費者保護
    ・企業の作成した約款は企業に有利に出来ている
    ・企業にとって大量取引のばあいは約款があると便利
  ⅲ 約款内容の適正確保
   ア)監督官庁の許認可
    ・保険、電気、熱供給業、運送、ホテルなどの一定の業種
   イ)業界団体が雛形
  ⅳ 商品の内容の開示と約款内容を知らずにした契約の効力
   ア)消費者への情報開示
    ・消費者は商品、サービスについて正確かつ十分な情報を得る必要がある
    ・情報の多くは約款に記されている
    ・約款の重要事項については事前に説明される必要がある
   イ)契約の成立条件
    ・約款の全てを知らなくても契約は有効
    ・重要事項の説明は十分にしておくべき


第2節 株式会社における業務執行者 [取引を行う主体]

Ⅴ 株式会社における業務執行者
1 取締役の役割と責任
 ① 取締役と会社の関係
  ⅰ 委任関係
  ⅱ 委任に基づく善管注意義務
  ⅲ 商法上の規定による忠実義務
 ② 取締役の競業避止義務
  ⅰ 競業避止義務の対象となる取引
   ア)会社の営業と同種又は類似の商品・役務を対象とする取引
   イ)会社と競合関係を生じるもの/小売と卸は競合しない
   ウ)会社が一時休止している事業
   エ)営業の準便着手している事業
   オ)会社の事業が発展して競合する可能性があるも事業
  ⅱ 競業取引に当たらないもの
   ア)定款の目的としてあっても会社が行う準備を全くしていない事業
   イ)定款目的であっても完全に撤退した事業
  ⅲ 競合取引をする場合の手続き
   ア)取締役が事前に情報を開示して取締役会の承認をとる
   イ)事後に報告をする
  ⅳ 取締役会の承認を得ないで競合取引を行った場合の効果
   ア)取引自体は有効
   イ)会社は取締役の義務違反を理由に損賠請求できる
   ウ)介入権を行使できる:取引を会社のためにしたものとみなす権利
 ② 利益相反取引の制限
  ⅰ 利益相反取引とは
   ア)自己取引:会社と取締役の間で利益が相反する取引
   イ)間接取引:会社と第三者の取引/取締役が保証人であるものなど
  ⅱ 取締役会の承認を得ないで行った利益相反取引の効果
   ア)会社との関係では無効
   イ)取締役と代表取締役は損賠責任を負う
 ③ 取締役の責任
  ⅰ 善管注意義務
  ⅱ 忠実義務
  ⅲ 第三者に対する責任
  ⅳ 取締役の責任は総株主の同意で免除できる
  ⅴ 一定額を限度として取締役の責任を免除できる
   ア)株主総会の特別決議
   イ)定款規定に基づく取締役会決議
2 取締役および取締役会
 ① 取締役会の形骸化
  ⅰ 株主総会の形骸化により代表取締役が取締役の選任権を掌握した
  ⅱ 業務執行の分化が進行した結果取締役が十分な情報を得られない
 ② 常務会
  ⅰ 複雑な経済環境下において機動的な意思決定を行う役割
  ⅱ 任意機関
  ⅲ 法廷の機関ではないため決議事項は取締役会の決議が必要になる
  ⅳ 重要財産委員会
   ア)法定の機関
   イ)取締役会決議事項の一部を取締役会により委任された者が決議できる
    ・重要な財産の処分・譲渡
    ・多額の借財
 ③ 取締役会の活性化の試み
3 代表取締役の役割と責任
 ① 代表取締役:会社を代表し会社の業務執行を行う機関
 ② 取締役・取締役会の関係
  ⅰ 代表取締役の権限
   ア)取締役会で決定した業務執行事項を執行する
   イ)営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為をなす権限を有する
   ウ)取締役会の監督に服する
  ⅱ 代表取締役の終任事由
   ア)取締役としての資格の喪失
   イ)任子の満了
   ウ)代表取締役の辞任
   エ)取締役会の決議による代表取締役の解任
 ③ 複数の代表取締役と共同代表取締役
  ⅰ 原則:複数の代表取締役がいても各自が会社を代表する
  ⅱ 共同代表取締役:複数の代表取締役が共同してのみ会社を代表できる
   ア)業務執行を慎重に行わせるため
   イ)代表権の濫用を防ぐため
   ウ)登記しなければならない
 ④ 代表権の確認
  ⅰ 代表権の制限
   ア)定款、取締役会決議のなどで代表取締役の権限を制限できる
   イ)代表取締役の制限は善意の第三者に対抗できない
   ウ)共同代表の場合は登記されているから善意の第三者にも対抗できる
 ⑤ 役付け取締役とは
  ⅰ 定款で取締役のうち会長・社長・副社長・専務などを設けること
  ⅱ 商法上の規定ではない
 ⑥ 表見代表取締役
   ↑第三者が代表権のない役付け取締役を代表権があると誤信すること
  ⅰ 表見代表取締役に当たる場合
   ア)会社がその名称の使用を取締役に許諾していること
   イ)取引の相手方がその名称ゆえに代表権があると誤信すること
   ウ)取引は直接会社に及ぶ
 ⑦ 会社債務と代表取締役
  ⅰ 原則:会社債務につき直接的な責任を負担しない
  ⅱ 現実:非上場企業などの場合は代表取締役に連帯保証を求める場合が多い
4 監査役の役割
 ① 業務監査権と会計監査
  ⅰ 監査役とは:取締役の職務執行の監査にあたる機関である
  ⅱ 監査役の権限
   ア)原則として会計監査のみならず業務監査にも及ぶ
   イ)適法性監査はある:取締役の行為が法令・定款に違反していないか
   ウ)妥当性監査には及ばない:取締役の行為が経営にとって妥当か不当か
   エ)監査役会
    ・大会社は強制される
    ・個々の監査権は独立して付与される
 ② 監査役の職務権限・義務
  ⅰ 報告聴取・調査権
   ア)いつでも取締役・使用人を問わず営業の報告を求めることが出来る
  ⅱ 子会社調査権
   ア)職務上必要な場合のみ
   イ)子会社に対しても営業の報告を求めることが出来る
  ⅲ 調査・報告義務
   ア)取締役が株主総会に提出する書類を調査する
   イ)法令・定款・著しく不当な場合は株主総会に報告する
  ⅳ 取締役会出席義務・意見陳述義務・取締役会召集権
   ア)取締役会出席は義務で必要な場合は意見を述べる
   イ)取締役が会社の目的の範囲外・法令・定款に違反する場合または違反する
    畏れのある場合は取締役会に報告しなくてはならない
  ⅴ 差止請求権
   ア)取締役が会社の目的・法令・定款に違反または会社に著しく損害を及ぼす
    可能性のある場合はその行為をやめるよう請求することが出来る
  ⅵ 監査役の辞任に関する意見陳述権
   ア)辞任後最初の株主総会でその理由を陳述できる
   イ)その他の監査役の選任・辞任についても陳述できる
  ⅶ 監査役の選任議案の同意権
   ア)大会社・みなし大会社の場合監査役の選任議案は監査役会の同意が必要
 ③ 会計監査人
  ⅰ 大会社みなし大会社は会計監査人を株主総会にて選任する
  ⅱ 会計検査人の権限
   ア)定時株主総会にて意見を述べることができる
   イ)選任・不再任・解任につき株主総会で意見を述べることが出来る
 ④ 監査特例法の重要性
  ⅰ 大会社に多くの規定がある
    ↑資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社
  ⅱ みなし大会社:資本金1億円以上かつ定款にみなし大会社となる規定
   ア)重要財産委員会や委員会等設置会社の規定などが適用される
   イ)多くの場合大会社と同じ規定を受ける
5 委員会等設置会社の仕組み
 ① 委員会等設置会社
  ⅰ 執行役:業務執行権限を有する
  ⅱ 指名委員会:取締役の候補者を決定する
  ⅲ 監査委員会:取締役、執行役の職務執行の監査等を行う
  ⅳ 報酬委員会:取締役、執行役の報酬を決定する
  ⅴ 取締役会:経営の基本方針、執行役の選任、法廷事項の決定など
   ア)多くのものを執行役にたいして委任することが出来る
  ⅵ 監査役・監査役会は設置することができない
  ⅶ 代表取締役も存在しない
 ② 委員会等設置会社における取締役会
  ⅰ 会社の業務執行のすべてについて決定する権限を有する
  ⅱ 取締役会の決定が必須な一定の事項を除き業務執行を執行役に委任できる
 ③ 指名委員会:取締役の選任・解任に関する議案の内容を決定する機関
 ④ 監査委員会と監査委員
  ⅰ 監査委員会
   ア)取締役・執行役の職務執行を監査する
   イ)会計監査人の選任・解任および不再任議案を検定する
   ウ)監査委員会を構成する取締役
    ・当該会社および子会社の執行役・支配人・その他の使用人を兼任できない
  ⅱ 監査委員
   ア)執行役が定款目的の範囲外の行為・法令・定款違反または違反の恐れの場合
    ・単独で取締役会に報告する義務
   イ)執行役が違法行為または当該行為により会社に著しい損害の恐れの場合
    ・当該行為をしようとしている執行役に対して差止請求が出来る
   ウ)監査委員の権限
    ・取締役・執行役などに対する職務執行に関する報告請求権
    ・業務・財産状況調査権
    ・子会社調査権
    ・会社対取締又は執行役間の訴訟、株主代表訴訟の会社代表権
    ・会計監査人の選任・解任・不再任議案の決定
 ⑤ 報酬委員会:取締役・執行役が受ける個人別の報酬の内容を決定する機関
 ⑥ 執行役:取締役会により委任された事項の業務執行をする機関
  ⅰ 執行役は取締役会に委任された事項の業務執行の決定権・執行権を有する
  ⅱ 取締役は執行役を兼任できる
  ⅲ 執行役と会社との関係は委任関係
   ア)善管注意義務・忠実義務がある
   イ)会社に対する任務懈怠の責任がある
  ⅳ 悪意又は重過失の場合は第三者に対しても責任がある
 ⑦ 代表執行役:会社を代表する機関である
  ⅰ 営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限を有する
6 理事、執行役員
 ① 理事
  ⅰ 民法上の理事:業務執行機関であり法人の代表機関
  ⅱ 株式会社の理事:任意の機関であり法的には商業使用人
 ② 執行役員
  ⅰ 委員会等設置会社の執行役とは異なる制度
  ⅱ 会社の機関ではなく法的には商業使用人
  ⅲ 一般的に商業使用人の最高位にある
  ⅳ 表見代表取締役の規定が適用される余地がある
  ⅴ 執行役員の選任は取締役会の決議事項にあたると考えられる
7 商業使用人の対外的役割と責任
 ① 商業使用人とは
  ⅰ 商人の補助者として特定の商人に従属してこれを補助する
  ⅱ 商法による商業使用人の区分
   ア)支配人
   イ)番頭・手代
   ウ)物品販売使用人
 ② 支配人
  ⅰ 権限
   ア)営業主に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為を
     なす権限を有するもの
   イ)支配人かどうかは名称ではなく事実上権限を有しているかで決まる
  ⅱ 表見支配人
   ア)善意の第三者を保護するため規定される
  ⅲ 義務
   ア)競業避止義務
   イ)精力分散防止義務
    ・営業主の許諾のない営業の禁止
    ・他の会社の無限責任社員または取締役の就任禁止
    ・他企業の使用人就任禁止
    ウ)介入権
    ・営業主は支配人の競業取引につき介入件を行使できる
 ③ 番頭・手代
  ⅰ 支配人の他に特定の事項について包括的な委任を受けた者のこと
  ⅱ 委任を受けた事項について一切の裁判外の行為を行う権限を有する
  ⅲ 社内的に制限を設けていても善意の第三者には対抗できない
8 代理
 ① 代理の効果:代理人の行った法律行為の効果は直接本人に帰属する
 ② 代理の成立要件
  ⅰ 代理権の存在
  ⅱ 顕名
  ⅲ 代理行為が存在すること
 ③ 無権代理
  ⅰ 無権代理の効果
   ア)代理権がないものが行った行為の効果は本人に帰属しない
   イ)本人がその行為を追認すれば行為のときに遡って本人に効果帰属する
   ウ)本人が追認拒絶すれば本人に効果帰属しないことが確定する
  ⅱ 本人が追認も拒絶もしないときの相手方の対応手段
   ア)相当の期間を定めて追認するか拒絶するかを催告できる
    ・期間内に本人から確答がなければ拒絶したものとみなす
   イ)自ら無権代理行為を取り消す
   ウ)無権代理人の責任を追及する
    ・自ら取消権を行使していないこと
    ・代理権のない事につき善意・無過失なこと
    ・無権代理人が行為能力を有すること
 ④ 表見代理
  ⅰ 表見代理の成立する場合
   ア)代理権授与表示
   イ)代理権踰越
   ウ)代理権消滅後
   エ)重畳適用:組合せて適用すること
  ⅱ 外観法理
 ⑤ 自己契約・双務契約の禁止
  ⅰ 自己契約:当事者の一方が相手方の代理人となること
  ⅱ 双務契約:同一人物が同一法律行為の当事者双方の代理人となること
  ⅲ 有効になる場合
   ア)本人が許諾するとき
   イ)単なる債務の履行のとき
  ⅳ 自己契約・双務契約は無権代理行為になる


第2節 株主と株主総会 [取引を行う主体]

Ⅳ 株主と株主総会
1 株主総会の位置づけ
 ① 株主総会定義:株主によって構成され株式会社の意思決定の最高機関である
 ② 意思決定は法律または定款で定められた会社の基本的事項に限定される
 ③ 定款により取締役会決議事項を株主総会決議事項とすることが出来る
 ④ 下位の取締役会等の機関に一任することはできない
 ⑤ 株主総会で決議できるのは提案された議案についてのみ
2 株主の議決権
 ① 一株一議決権の原則と例外
  ⅰ 原則:株主は一株につき一議決権を有する
  ⅱ 例外
   ア)議決権制限株式
   イ)会社が取得した自己株式
   ウ)単元未満株主
   エ)端株主
 ② 議決権の代理行使・書面行使・不統一行使
  ⅰ 代理行使:株主は代理人により議決権を行使できる/要委任状の提出
   ア)定款で代理人を株主に限定することは有効
   イ)株主総会を撹乱する恐れのない者は株主でなくとも代理人になれる
   ウ)上場会社は代理行使の参考資料を送付しなければならない
  ⅱ 書面行使・電磁的方法による行使
   ア)商法改正により書面をもって議決権を行使することができる
   イ)電磁的方法による議決権行使も取締役会決議があればできる
  ⅲ 不統一行使:複数の株式を有する株主が相反する議決権を行使すること
   ア)他人の為に株式を有する者の為の制度
   イ)一定の要件のもと商法は認めている
  ⅳ 取締役選任の累積投票
   ア)株主は取締役候補の数と同数の議決権を持つことが出来る
   イ)議決権を一人の候補者に投票することが出来る
   ウ)少数派の意見を取締役会に反映することが出来る
   エ)取締役会に党派的対立を生む弊害もある
   オ)多くの企業は定款によりこの制度を排除している
3 株主総会の招集と進行
 ① 株主総会召集の手続き
  ⅰ 株主総会は毎年1回、一定の時期に召集されなければならない
  ⅱ 原則
   ア)取締役会が株主総会日時・場所・議題・議案を決定する
   イ)代表取締役が取締役会決議に基づき召集する
   ウ)召集通知を会日の2週間前に送付する
    ・株主に出席の機会と準備の時間を与えるため
  ⅲ 株主による株主総会召集
   ア)株主総会召集請求権と召集権
   イ)株主総会費用は株主負担になる
 ② 召集手続きの簡素化
  ⅰ 全株主の同意で召集手続きが省略できる
  ⅱ 譲渡制限会社
   ア)定款に定める事により召集通知の発送を会日1週間前に出来る
 ③ 株主提案権
  ⅰ 原則:株主総会の議題・議案は取締役会が決定する
  ⅱ 株主提案権
   ア)要件
    ・6ヶ月前より引き続き総株主の議決権の1/100以上又は300個以上所有
    ・株主総会の8週間前までに書面をもって行使する
   イ)議題提案権:一定事項を株主総会の議題とすることが出来る
   ウ)議案提案権:議案の要領にすべく召集通知に記載できる
 ④ 決議事項と決議方法
  ⅰ 原則
   ア)定足数:総株主の議決権の過半数が出席
   イ)出席株主の過半数をもって決議すること
   ウ)定款を持って定足数・決議数は変更できる
  ⅱ 例外:特別決議と特殊の決議
  ⅲ 決議方法
   ア)書面または電磁的方法でも可能
   イ)株主総会手続き・株主総会自体を省略することが可能
  ⅳ 特別決議事項
   ア)総株主の議決権の過半数が出席で2/3以上の賛成で決議する
   イ)定款によって上記要件を加重することは可能
   ウ)定款によって定足数を1/3にすることは可能
   エ)株主の立場から見て重要性が高いものが特別決議になる
  ⅴ 特殊の決議事項
   ア)特殊の決議が必要な場合
    ・取締役と会社の取引において取締役の責任を免除するとき
    ・定款を変更して株式の譲渡を制限する場合
    ・株式会社から有限会社に組織変更する場合
4 株主の利益確保
 ① 株主総会の形骸化と株主利益の確保
  ⅰ 株主総会形骸化を阻止する理由
   ア)株主総会は取締役・取締役会の業務執行の適正確保の重要な機関である
   イ)実質的所有者である株主の会社経営に関与できる重要な機会である
  ⅱ 株主総会が形骸化する要因
   ア)多くの企業の株主総会が同一日に集中する
   イ)株主に十分な発言の時間を与えない強権的な進行
  ⅲ 近時
   ア)株主利益を実質的に図る要請が高まる
   イ)投資家向けの広報活動の場として積極的に利用
 ② 総会屋への利益提供の禁止
  ⅰ 総会屋に限らず株主の権利行使に対する財産上の利益供与を禁止
  ⅱ 違反した場合
   ア)取締役は供与した利益額につき会社に対して弁済責任を負う
   イ)供与を受けた者は会社に返還する義務を負う


第2節 株式と株券及び株主名簿 [取引を行う主体]

Ⅲ 株式と株券及び株主名簿
1 株式の意味と株主の権利義務
 ① 株式の意味
   ↑株式会社の実質的所有者である社員の地位である
  ⅰ 特色
   ア)細分化された均一的な単位の形をとる
   イ)多数の出資者の資本を集めやすく、大規模企業に適した出資形態
  ⅱ 持分複数主義
   ア)株主は出資額に応じて複数の株式を所有する
   イ)均一の割合的単位であるから出来る
  ⅲ 持分単一主義:人的会社の場合
   ア)社員が出資額に応じて大きさの異なる単一の地位を有する
 ② 株主の権利・義務
  ⅰ 義務:株式の引受価額を限度とする出資義務を負う
  ⅱ 権利
   ア)自益権:会社から経済的利益を受ける権利
   イ)共益権:会社の管理運営に参画する権利/様々な監督是正権がある
   ウ)単独株主権:1株の株主でも行使できる権利
   エ)少数株主権:
    ↑総株主の議決権の一定割合または一定数を有する株主だけの権利
  ⅲ 株主代表訴訟:株主が会社の代表として取締役の責任を追及する制度
 ③ 株主平等原則
  ⅰ 定義:株主としての資格に基づく法律関係については全ての株主を
        その有する株式の数に応じて平等に取扱わなければならない
        とする原則
  ⅱ 機能:少数株主の保護
  ⅲ 内容
   ア)各株式の内容が平等であること
   イ)内容が平等なら取り扱いも平等であること
   ウ)例外:特殊の株式、少数株主権の保有期間の規定など
  ⅳ 違反の効果
   ア)原則として無効
   イ)不利益を受ける株主が承認すれば有効
2 株式の種類と形式
 ① 無額面株式
  ⅰ 無額面株式とは:定款上一定の金額の定めがない株式のこと
   ア)現在の株式はすべて無額面株式
  ⅱ 無額面株式と資本の額との関係
   ア)原則として発行済み株式の発行価額の総額
   イ)発行価額の1/2を超えない範囲で資本組入れないことができる
 ② 特殊の株式
  ⅰ 優先株・劣後株・混合株
   ア)利益・利息の配当、残余財産の分配などに差を設ける
   イ)優先株:一般の株式に比べて優先的取扱いを受ける株式
   ウ)劣後株:一般の株式に比べて劣後的取扱いを受ける株式
   エ)混合株:ある点では優先株、他の点では劣後株である株式
  ⅱ 償還株式:配当可能利益で償却することが予定された株式
  ⅲ 議決権制限株式:議決権を行使できる事項について制限がある株式
   ・発行済み株式総数の1/2を超えることが出来ない
  ⅳ 種類株主総会により取締役・監査役を選任できる株式
  ⅴ 転換予約権付株式:他の種類の株式に転換請求権が付与された株式
  ⅵ 強制転換条項付株式:会社が他の株式に転換できることが出来る
3 単元株・端株制度
 ① 単元株制度
   ↑定款により一定数の株式を異端減の株式と定め一単元の株式には一個の
    議決権を認めるが単元株未満の株式には議決権を認めない制度のこと
  ⅰ 1000株を超えて一単元とする事は出来ない
  ⅱ 発行済み株式総数の1/200を超える数を一単元とする事はできない
  ⅲ 単元未満株主は一単元となるように会社に対し売渡請求が出来る
 ② 端株制度
   ↑株式の1株に満たない端数で1株の1/100の整数倍にあたるものを
    端株として一定の自益権を与える制度
  ⅰ 会社は端株の代金を株主に払って処理することも出来る
  ⅱ 単元株制度との併用はできない
  ⅲ 原則として端株原簿に記載される
  ⅳ 端株券を発行する事はできない/端株の譲渡は出来ない
  ⅴ 端株には会社に対して買取請求が認められる
  ⅵ 会社に対して売渡請求も認められる
4 株券と株主名簿
 ① 株券とは:株式を表彰する有価証券のこと
  ⅰ 記名株券:株主の氏名が記載される
  ⅱ 有価証券性:権利の移転・行使には証券の交付・譲渡によって行われる
  ⅲ 会社に対する効力:株主名簿の記載に基づいて行われる
  ⅳ 商号などの本質的事項が記載されていないものは無効
 ② 株券の発行
  ⅰ 会社は成立後または新株払込期日後遅滞なく株券を発行する
  ⅱ 成立以前または新株払込期日以前の発行は無効
  ⅲ 譲渡制限付株式は株主からの発行請求がなければ発行しなくて良い
 ③ 株券不所持制度
  ⅰ 不所持の請求をした株主はいつでも会社に発行を請求できる
  ⅱ 株式の善意取得制度によって株式を失わないようにする制度
 ④ 株券不発行制度:定款に株券を発行しない旨を設ける
  ⅰ 未公開会社における移行手続き
   ア)株主総会における定款変更手続き
   イ)既発行がある場合は株主への通知と広告
   ウ)既発行株券はすべて無効
   エ)株券不発行制度を採用した事を登記する義務
  ⅱ 株券不発行制度採用の法的効果
   ア)株式譲渡の効力は意思表示による
   イ)株主名簿のへの記載が第3者への対抗要件
   ウ)名義書換は原則として株主と株式取得者の共同請求
  ⅲ 未公開会社における先行実施:平成16年10月1日から
 ⑤ 株券失効制度
   ↑株主が株券を喪失した場合に善意取得されることを防止するため
    会社に対し株券喪失登録をとることによって株券を無効にする制度
 ⑥ 株主名簿
  ⅰ 株主名簿とは
    ↑株主および株式・株券に関する事項を記載した帳簿
   ア)株式の行使の都度株券を会社に提出する必要をなくす
   イ)株主管理事務の円滑化を図る
  ⅱ 株主名簿の効力
   ア)株式の移転は株主名簿に記載がなければ会社に対して対抗できない
   イ)会社は株主名簿の記載をもとに株主に通知・催告を行えば免責される
  ⅲ 株主名簿の基準日
   ア)一定の基準日に記載のあるものを株主とみなす制度
   イ)株主総会において権利を行使するものを確定するための制度
5 株式の譲渡
 ① 株式譲渡自由の原則:株主は株式を原則的に自由に譲渡する事が出来る
  ⅰ 株式譲渡の対価によって投下資本を回収できる
  ⅱ 株主有限責任と相俟って多くの人から資本の集中を可能にする
 ② 株式譲渡自由の制限
  ⅰ 法律による制限
   ア)権利株の譲渡制限
    ↑株式引受人としての地位
   イ)株券発行前の株式の譲渡制限
   ウ)親会社株式の取得制限
   エ)独占禁止法の株式取得制限
   オ)証取法によるインサイダー取引の規制
  ⅱ 定款による譲渡制限
   ア)理由:会社にとって好ましくないものを排除
   イ)株式の譲渡につき取締役会の承認が必要な旨を定款に定めることができる
   ウ)原始定款に定めることが出来る
   エ)定款変更で定めるときは特殊の決議が必要
    ・特殊の決議:総株主の過半数かつ議決権の2/3以上の賛成
   ⅴ投下資本の回収手段
    ・会社に対し譲渡の承認を請求できる
    ・譲渡を承認しないときは他に譲渡の相手方を指定することが出来る
 ③ 株式譲渡の方法
  ⅰ 譲渡の意思表示とともに株券を交付する
  ⅱ 株券不発行制度
   ア)株主名簿への記載が第三者への対抗要件
6 自己株式の取得と保有
 ① 原則:会社は自己の発行済株式または持分を買い受け保有することができる
 ② 自己株式保有の弊害
  ⅰ 資本維持の原則に反する
  ⅱ 株価操作の恐れがある
  ⅲ 現職取締役の地位保全の為に用いられる危険性
  ⅳ 特定の株主のみ有利に取扱われる危険性
 ③ 弊害を除去するための手続き
  ⅰ 一定の財源規制を設ける
  ⅱ 一定の承認手続き
   ア)定時株主総会の決議
   イ)取締役会の決議
    ・子会社の株式を取得する場合
    ・定款の定めがある場合→次期の株主総会で承認を求める必要がある
 ④ 処分と消却
  ⅰ 売却処分:新株発行と同様の手続き/取締役会の決議
  ⅱ 株式の消却:特定の株式を絶対的に消滅させること
   ア)定時株主総会の決議に基づく取締役会の決議で消却する


第2節 株式会社の設立 [取引を行う主体]

第2節 株式会社の仕組み 
Ⅱ 株式会社の設立
1 株式会社の設立とは
 ① 株式会社の設立とは
  ⅰ 営利社団法人としての実体を形成する
  ⅱ 法人格を取得する
 ② 設立の順序
  ⅰ 発起人が定款を作成す
  ⅱ 社員となるものを募集する
  ⅲ 社員が引き受けた出資の全てを履行する
  ⅳ 設立登記をおこなって会社となる
 ③ 設立に当たっての注意点
  ⅰ 物的会社である株式式会社は資本充実維持原則が強く要請される
2 株式会社が設立される場合
 ① 個人企業の法人成り
 ② 子会社・関連会社の設立
3 株式会社の設立の手続き
 ① 発起設立と募集設立
  ⅰ 発起設立:発起人が設立時の株発行の全てを引き受ける設立
  ⅱ 募集設立:発起人以外にも株主を募集する設立
 ② 定款:定款は会社の根本規則(電磁的記録でも可)
  ⅰ 絶対的記載事項:記載がないと定款が無効になる
   ・会社の目的
   ・商号
   ・会社が発行する株式の総数
    ↑取締役会で発行が認められる授権資本の枠を示したもの
   ・会社設立に際して発行する株式の総数
    ↑発行価格の1 /4を下回ることが出来ない
    ↑株式譲渡に付き取締役会の証人を要する会社には適用されない
   ・本店の所在地
   ・会社が広告する方法
   ・発起人の氏名・住所
↑ただし定款付則において会社設立後削除されることが多い
  ⅱ 相対的記載事項:定款に記載がないとその効力が認められない
   ・変態設立事項
    ア)発起人の受けるべき特別の利益および発起人の氏名
    イ)現物出資
    ウ)財産引き受け
     ↑会社設立を条件に特定の営業用財産を譲り受ける行為
    エ)発起人の受けるべき報酬の額
    オ)会社の負担に帰すべき設立費用
  ※ 事後設立:現物出資、財産引受の潜脱防止のための規定
    ↑会社成立後2年以内に会社成立前から存在する財産を営業の為に
     継続して使用する目的で資本の1/20にあたる対価で取得する契約
    ア)株主総会の特別決議を要する
  ⅲ 任意的記載事項:定款の記載事項として法廷されていない事項
   ・その変更には株主総会の特別決議が必要
 ③ 設立登記
  ⅰ 設立登記の目的
   ・法人格を取得する
   ・会社と法律関係を形成するものの保護を図る趣旨
  ⅱ 設立登記の時期:法律が定める手続きが終了した2週間以内に行うこと
  ⅲ 設立登記の付随的効果
   ・資本充実の観点から株式引受の無効・取消が制限される
   ・株券の発行や株式譲渡が可能になる
4 設立中の会社と発起人
 ① 設立中の会社
  ⅰ 設立中の会社(同一性説)
   ・設立中の会社と設立後の会社は社団としての実質において同一
   ・設立中の会社において形成された法律行為は成立後の会社が引き継ぐ
 ② 発起人の権限
  ⅰ 発起人の権限は営業行為には及ばない
  ⅱ 発起人の権限の範囲
   ・法律上経済上必要な行為
   ・開業準備行為のうち財産引受のみ
   ・それ以外の開業準備行為は成立後の会社が追認しても認められない
5 設立に関する責任
 ① 会社成立の場合の責任
  ⅰ 資本充実責任:会社設立に際して発行を予定する株式の総数の引受が必要
   ア) 起人・取締役が共同して株式を引き受けたものとみなす
    ・株式の申込が取り消されたとき
    ・会社成立後もなお引受がないとき
   イ)発起人・取締役が払込・給付未済財産の支払をする責任
    ・引受がなされても払込がなされていない
    ・引受がなされても現物出資の給付がなされていない
   ウ)会社に対して不足額を支払う義務
    ・現物出資・財産引受の実価が定款より著しく不足する場合
    ・ただし裁判所の選任する検査役の調査を受けた場合を除く
  ⅱ 預け合い・見せ金:資本充実の観点から発起人・取締役に担保責任
   ア)預け合い:発起人が払込取扱い銀行から金銭を借入れてこれを株式の
         払込にあてるがその借入金完済までは払込金の払出しをしな
         い旨の約束をするもの
    ・刑事罰がある
   イ)見せ金:発起人が払込取扱銀行以外から借財をなし株式の払込にあてる
        が会社成立後すぐにこれを引き出して借財を返済するもの
 ② 任務懈怠責任
  ⅰ 発起人の損害賠償責任
   ア)発起人の会社設立中の機関としての善管注意義務違反
    ・総株主の同意があれば免責される
    ・任務懈怠に付き悪意・重過失があれば第三者に対しても損賠責任あり
  ⅱ 取締役・監査役の損害賠償責任
   ア)監督機関としての調査義務を怠った場合
    ・会社および第三者にたいして損賠責任を負う
   イ)総株主の同意があれば免責される
   ウ)発起人にも責任がある場合はこれらの者が連帯して責任を負う
 ② 会社不成立の場合の責任
  ⅰ 発起人は会社設立に関してなした行為について全員が連帯して責任を負う
  ⅱ 既に支出した会社設立に関する費用も発起人全員の連帯責任となる
 ③ 擬似発起人の責任
   ↑発起人でなくとも株式申込書、目論見書などに自己の氏名を記載した者
  ・発起人と同一の責任を負う


第2節 株式会社の仕組み [取引を行う主体]

第2節 株式会社の仕組み
Ⅰ 株式会社の仕組み
1 会社債権者と株式会社
 ① 株式:社員の地位を細分化された割合的単位で表現したもの
 ② 間接有限責任
  ⅰ 社員は有する株式の引き受け価額を限度として責任のみ負う
  ⅱ 会社債権者にはなんらの責任も負わない
 ③ 資本:会社財産確保のための基準
 ④ 資本充実維持原則
  ・資本の額に相当する金銭的財産が株主の出資によって現実に拠出
  ・拠出された財産が会社に維持されなければならない
  ・発起人に担保責任を負わせてこの原則を貫いている
 ⑤ 公示主義:会社債権者に対して対外的信用に付き重要事項を登記事項とする
2 株式会社の経営機構
 ① 所有と経営の分離
  ⅰ 取締役:業務執行の責任と権限を持つ
  ⅱ 監査役:業務執行を監査する
  ⅲ 監査役会、社外監査役:大規模会社において監査の実効性を確保する
  ⅳ 委員会等設置会社:大規模会社の新しい経営形態


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